EUは7月8日、ドイツの Ruhrgas AG とフランスのGDF Suez SA にそれぞれ、553百万ユーロ、合計1,106百万ユーロの制裁金を課した。
(1社での過去最大は自動車用板ガラスカルテルでのフランスのSaint-Gobain の896百万ユーロで、今回の両社はこれに次ぐもの)
Ruhrgas AGと Gaz de Franceは1975年にロシアのガスをドイツとフランスに送る MEGAL pipelineを共同で建設することとし、パイプラインで送ったガスを相手の国の市場では売らないことで合意した。両社はそれぞれ、ドイツとフランスにおける天然ガスの最大手。
Ruhgasは、2003年にRAGがE.On所有のDegussa株を購入、見返りにRuhgas株をE.onに譲渡し、E.On group に入った。
Gaz de Franceは2008年にSuezと合併し、GDF Suez となった。MEGAL pipeline (Mittel-Europaische-Gasleitungsgesellschaft)はロシアの天然ガスをドイツ・チェコ、ドイツ・オーストリア国境からドイツ・フランス国境まで送る2本のパイプライン。
現在、E.Onが51%、GDF Suezが44%、OMVが5%出資する。
チェコ国境のWaidhausから独仏国境のMedelsheimまでのMEGAL Nord(北MEGAL)と、ドイツ・チェコ・オーストリア国境のOberkappel とドイツのSchwandorfまでのMEGAL Sud (南MEGAL)から成り、両パイプラインは Rothenstadt とSchwandorf で接続されている。
両社は1975年にMEGAL建設を決めた際に、MEGALで運んだガスをGDFはドイツで売らないこと、Ruhrgasはフランスで売らないことで合意し、レターで交わした。
当時はGDFはフランスの輸入天然ガスを法的に独占していた。
Ruhrgas の天然ガスも他のメーカーとの間のDemarcation Agreement (独占的な供給区域を設定する境界設定契約)で実質的に独占であった。(他に、排他的なパイプライン敷設権を認めるConcession Agreement もあった。)
GDFの独占は2000年に廃止され、ドイツのDemarcation Agreement も1998年4月に違法とされた。
しかし両社は2000年8月にEC指令により欧州ガス市場が競争市場になった以降も、1975年のレターが違法であることを認識しながらも、市場分割を続けた。
定期的にいろんなレベルで会合を持ち、協定を確認し、相手の行動を監視した。
2004年には以前から協定は無効であると考えていたと説明したが、2005年9月に廃棄するまで協定を実行してきた。
EUは市場分割協定は独禁法の重大な違反であり、協定により、両社は自由化された両国のガス市場で強い地位を築いたとしている。
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