デュポンは8月20日、120百万ドルを投じて、太陽電池バックシート材料のTedlar(R) ポリフッ化ビニル樹脂フィルム(PVF)の製造用のモノマーとレジンの能力を50%以上増強すると発表した。
モノマーは Louisville, Ky工場で、レジンはFayetteville, N.C工場で、それぞれ増設する。2010年央にスタートする。モノマー増設が45百万ドル、レジン増設が55百万ドルで、残り20百万ドルの用途は明らかにされていない。
デュポンでは太陽光発電の市場は今後数年にわたり急速に発展し、Tedlar(R) や他の材料の需要を押し上げるとみている。
同社では既に Tedlar® PV2100 シリーズのフィルムの能力拡大を行っており、Tedlar® PV2000 シリーズのフィルムの能力拡大の準備を行っている。これらにより、太陽光発電用の Tedlarフィルムの能力は倍増する。
同社では2012年には太陽光産業向けの製品売り上げは10億ドルを超えると期待している。
デュポンTedlarフィルムは、太陽電池バックシート材料として25年以上の歴史を持ち、抜群の耐候性、耐紫外線性、防湿性能から、業界標準として広く認識されている。これは太陽電池モジュールの寿命を延ばすことを可能にした。
また、耐久性、耐候性に優れていることから、航空宇宙、建築・建設およびグラフィックアートといった分野での重要な用途にも使用されている。
同社ではこの投資は、クリーンで再生可能なエネルギーに対する需要増大に対応するものとしている。
DuPont は8月13日、今後、4つの新しいトレンドに革新エンジンを集中すると発表したが、その一つが「化石燃料依存度の減少」で、これに対応して「持続可能性、および世界中の人々にクリーンで再生可能なエネルギーをもたらす製品を提供する」というのが同社の公約となっている。
4つの新しいトレンド
・食糧需要増大への対応
・人間と環境の保護
・化石燃料依存度の減少
・新興成長市場への投資
同社の太陽光発電材料はほかに以下がある。
・ Evaflex(R) :エチレンー酢酸ビニル共重合樹脂
太陽電池封止材として、人工衛星から住宅用まで幅広い分野で四半世紀以上の実績がある
・ Kapton(R):超耐熱・超耐寒性ポリイミドフィルム
この使用で、従来にはないフレキシブル性、軽量性、加工性に富んだ太陽電池基板を提供
・ SentryGlas(R):ガラス-ガラスタイプの太陽電池モジュール用封止材(アイオノプラスト樹脂)
・ Solamet(TM):太陽電池の前面または背面電極用(銀ペースト、銀アルミペースト、アルミニウムペーストなど)
・ Butacite(R) :ガラス-ガラスタイプの太陽電池モジュール用封止材(ポリビニルブチラール樹脂)
・ Rynite(R):自動車用電装部品、外装品など/剛性、高温特性に優れている
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デュポンは7月1日、米エネルギー省と共同で産業用および家庭用太陽電池に関する研究プログラムを立ち上げることを発表した。デュポンが600万ドル、DOEが300万ドルを出資する。
共同研究では、CIGS太陽電池(シリコンを使わない次世代の太陽電池)向け超薄型保護フィルムの早期実用化を目指している。開発する超薄型保護フィルムは、人間の毛髪の3000分の1の薄さで、湿気による発電効率の低下を防ぐなどの特徴がある。
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同社はまた、2010年までに使用する電力の少なくとも10%を再生可能エネルギーにするとしている。
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http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
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