8月10日の日本経済新聞はトップ記事で三菱ケミカルホールディングスが三菱レイヨンを買収する方針を固め、TOBにより完全子会社化する方向で調整していると伝えた。
実現すると売上高(2009/3月期合計)は3兆2540億円となる。
付記
三菱ケミカルホールディングスの小林善光社長は8月21日の記者懇談会で、三菱レイヨン買収で同社と協議を進めていることを正式に認めた。
具体的には「現段階では何も決まっていない」としながらも、買収金額が2500億円強、時期は2010年3月末になる見通しを明らかにした。
7月18日の日本経済新聞の「トップに聞く企業戦略」で三菱ケミカルホールディングスの小林喜光社長は以下の通り述べている。
「(外資の傘下入りは)あり得ない選択肢だ。時価総額をみると、米ダウ・ケミカルなど海外勢との差は依然大きい。それでも日本を代表する総合化学会社として、海外勢と渡り合うという従来の考え方を曲げるつもりはない」
両社の歴史は以下の通りで、一時は合併していた。
三菱樹脂 | 田辺三菱製薬 | 三菱化成 | 三菱油化 | 三菱レイヨン | 旭硝子 | |
1907 | 設立 | |||||
1933 | 設立(新興人絹) | |||||
1934 | 日本タール工業設立 (三菱鉱業/旭硝子折半出資) |
日本タールを設立 | ||||
1936 | 日本化成工業と改称 | |||||
1942 | 新興人絹と合併 | 日本化成工業と合併 | ||||
1944 | 旭硝子と合併、 三菱化成工業に |
日本化成工業と合併 | ||||
1950 | 企業再建整備計画で分離 日本化成工業と改称 |
分離 新光レイヨン |
分離 旭硝子 | |||
1952 | 三菱化成工業と改称 | 三菱レイヨンと改称 | ||||
1956 | 設立 | |||||
1988 | 三菱化成と改称 | |||||
1994 | 合併 三菱化学と改称 | |||||
1999 | 医薬分社化 東京田辺と合併 三菱東京製薬 |
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2001 | ウェルファーマと合併 三菱ウェルファーマ |
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2005 | 株式移転により、共同持株会社、 三菱ケミカルホールディングスを設立 |
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2007 | 田辺製薬と合併 田辺三菱製薬 |
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2008 | 三菱樹脂 三菱化学MKV 三菱化学 ポリエステルフィルム 三菱化学産資 が合併、 三菱樹脂 |
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2009 | Lucite を買収 | |||||
現状 | 三菱樹脂 | 田辺三菱製薬 | 三菱化学 | 三菱ケミカルが 買収? |
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三菱ケミカルホールディングス |
三菱レイヨンの主要製品と業績は以下の通り。
営業損益対比(億円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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化成品・樹脂事業 | 化成品(MMAモノマーほか)、成形材料、板、コーティング材料、機能性コポリマー、UV硬化塗料、樹脂改質用コポリマー、アクリル系フィルム、液晶用プリズムシート、プラスチック光ファイバー、プラスチックロッドレンズ |
アクリル繊維・AN及び誘導品事業 | アクリル繊維、アクリロニトリル及び誘導品 |
炭素繊維・複合材料事業 | 炭素繊維、複合材料加工品、航空機材 |
アセテート、機能膜事業その他 | アセテート繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、浄水器、中空糸膜フィルター、人工炭酸泉製造装置、水処理機器システム、プラントエンジニアリング、建築関連材料 |
三菱化学と三菱レイヨンは2001年7月に両社のAN、アクリルアマイド、ポリアクリルアミド及び関連事業を統合し、50/50JVのダイヤニトリックスを設立した。(2006年4月に三菱レイヨン 65%/三菱化学 35%となり、三菱レイヨンの連結子会社となった)
* 総合目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
本記事はこのブログ開設以来で最大のアクセスを記録した。
8/10
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Yahoo Japan ニュースに本件が載り、本ブログが紹介されたのが理由。
関心の高さに驚いた。
http://backnumber.dailynews.yahoo.co.jp/?m=519546&c=economy
三菱ケミ 三菱レイヨン買収へ - 経済 8月10日(月)10時57分~17時44分
◇両社がコメント
・ 本日の一部報道について - 三菱ケミカルホールディングス(8月10日)
・ 本日の一部報道について - 三菱レイヨン(8月10日)
・ 三菱ケミカルHD、三菱レイヨンTOB報道で観測記事とのコメント発表 - ロイター(8月10日)
◇化学業界について
・ 三菱ケミカルホールディングスが三菱レイヨンを買収? - 化学業界の年表、図表。化学業界の話題(8月10日)
具体的には「現段階では何も決まっていない」としながらも、買収金額が2500億円強、時期は2011年3月末になる見通しを明らかにした。
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上の文章の中で2011年3月末とありますが、2010年の間違いではないでしょうか?
修正しました。
http://company.nikkei.co.jp/news/news.aspx?scode=4188&NewsItemID=20090822NKM0245&type=2
上記の日経記事では、「2010年度までに2500億円超をM&Aに投じる計画に変更はない」と記述が
あります。2010年度とはケミカルが3月決算ですので、2010年4月から2011年3月までと捉えるのが自然です。
とすると、日経記事は、2011年3月迄に「三菱レイヨン以外も含めて」2500億円超を投じるという内容と捉えられるかと思います。
とすると、付記に記述された「買収金額が2500億円強、時期は2010年3月末になる見通しを明らかにした。」
と矛盾する気がします。
このあたり如何でしょうか?
2008年12月9日の三菱ケミカルホールディングスグループ事業説明会の説明資料
http://www.mitsubishichem-hd.co.jp/ir/pdf/20081209-2.pdf
のP.14の「資源配分計画の見直し」では中期計画APTSIS('08-'10年度)で
戦略的投融資2,500億円(目安)→+α
となっています。
2010年度ではなく、2010年度までにです。