韓国初の宇宙ロケット「羅老(Naro)」が8月25日午後5時に打ち上げられた。
全羅南道高興郡外羅老島(ウェナロド)の羅老宇宙センターで打ち上げられた「羅老」は発射から約200秒後、第1段ロケットの分離に成功、第2段ロケットに点火、目標軌道に入った「羅老」は、5時9分に重さ100kgの科学技術衛星2号の分離に成功した。
当初は5時12分に衛星が軌道に乗ったと報じられたが、その後、教育科学技術部長官は記者会見で「羅老号が地球周回軌道への進入に失敗した。現在、韓国とロ共同調査委員会で詳しい原因を調べている」と語った。
付記
教育科学技術部は26日、ロケット先端部の衛星保護カバーの1つが分離しなかったためと発表した。結果として飛行速度が大幅に低下、衛星は墜落して大気圏で消滅したとみられる。ーーー
羅老号は8月19日、発射に向けたカウントダウンが「7分56秒前」まで進みながら、ヘリウム貯蔵タンクの圧力を測定するソフトにトラブルが発生し、打ち上げが自動的に中止された。
「羅老」は第1段と第2段ロケットで構成され、全長33.5mで、 第1段ロケットは25.8m。
開発費用は5025億ウォン(4億ドル)。
韓国はこれで世界で10カ国目の「人工衛星打ち上げ国」となる筈であった。
順位 | 打ち上げ年月日 | 打上げ国 | 衛星名称 | 打上げロケット | 備考 |
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1 | 1957年10月4日 | ソビエト連邦 | Sputnik-1 | R-7 | 84kg |
2 | 1958年1月31日 | アメリカ合衆国 | Explorer-1 | Jupiter-C | 13.7kg |
3 | 1965年11月26日 | フランス | Aesterix-1 | Diamant | |
4 | 1970年2月11日 | 日本 | おおすみ | L-4S 5号機 | 23.8kg |
5 | 1970年4月24日 | 中国 | 東方紅 | 長征1型 | |
6 | 1971年10月28日 | イギリス | Prospero | Black Arrow | オーストラリアで |
7 | 1980年7月18日 | インド | Rohini-1 | Satellite Launch Vehicle (SLV) | |
8 | 1988年9月19日 | イスラエル | Ofek -1 | Shavit | 西向きに打上げ |
9 | 2009年2月2日 | イラン | Safir I | Omid | インド洋上に打上げ |
(10) | 2009年8月25日 | 韓国 | 科学技術衛星2号 | 羅老(KSVL-1) |
しかし、羅老は完全な自前ロケットではない。
「羅老」開発事業は2002年8月に始まった。
韓国航空宇宙研究院は2004年10月にロシアのKhrunichev State Research and Production Space Center とロケットシステム協力契約を締結した。
当初は「第1段ロケットをロシアと共同開発している」と広報していたため、打ち上げが成功すれば、自前ロケットによる人工衛星打ち上げ国になるとされた。
しかし航空宇宙研究院によると、契約は「第2段固体ロケットとロシアの第1段ロケットを組み立てて全体のロケットを作るための発射体の共同開発」で、第1段ロケットについては韓国には技術移転されていない。
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朝鮮日報は8月23日の紙面で、「朝鮮はロケット先進国だった」という記事を載せている。
それによると、韓国はロシアよりもはるかに長いロケットの歴史を持っている。
韓国で初めて開発されたロケットは、高麗末期の1377年、崔武宣が作った「走火」で、このロケット兵器は、1448年に「神機箭」という兵器へと進化した。紙を巻いて作った「薬筒」に詰めた黒色火薬の力によって矢を放つ兵器である。
「小神機箭」「中神機箭」「大神機箭」「散火神機箭」の 4種類があった。
このうち、「散火神機箭」は、2段式ロケットの構造を有するもので、薬筒の上方に小型の爆弾「小発火」と、小型のロケットエンジンといえる「地火筒」を合わせたものを幾つも取り付けた。
第1段ロケットに当たる薬筒が燃え尽きた後、第2段ロケットに当たる地火筒に点火され、あちこちを飛び回った後、最後に「小発火」が爆発する仕組みという。
記録によると、1447年に平安道と咸吉道(後の咸鏡道)だけで約3万5000発の「走火」や神機箭が作られた。
当時、イタリアのレオナルド・ダビンチが火薬を用いた兵器の想像図を作成していたが、韓国ではすでにロケット兵器が実戦配備されていた。
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北朝鮮外務省の報道官は「わが国は4カ月前、人工衛星の打ち上げで、国連安保理から制裁を受けた。6カ国協議が尊重する自主権と平等権の原則が打ち壊された現在、ロケットの打ち上げを予定する韓国に対して、(6カ国協議での)平等の原則は今も存在するのだろうか」と発言、韓国の宇宙ロケット打ち上げが、国連安保理などの制裁の対象にならないことへのいら立ちを示した。
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http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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