米の反ダンピング関税調査、WTO違反が確定

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世界貿易機関(WTO)の紛争処理上級委員会は18日、日本の提訴に基づきWTO協定違反と認定された米国の反ダンピング(不当廉売)税率の計算方法(ゼロイング)について、日本の主張を認めた小委員会(第1審)の判断を支持し、米国がWTOの是正勧告に従っていないと認定した。http://www.wto.org/english/tratop_e/dispu_e/322abrw_e.pdf

日本の「勝訴」が確定し、米国は計算方法の見直しが義務付けられる。

日本が問題視していたのは、米国が1999年から使っている「ゼロイング」という手法で、日本からの高値での輸出を無視し、安値での輸出だけを抽出して計算し、輸出全体をダンピングと認定する。

日本から米国に輸出するベアリングで不当な高関税をかけられており、日本は280億円の損害が出ているとみている。

例 正常価格 100、輸出価格がAが80(ダンピングマージン 20)、Bが125(同 -25)、Cが150(同 -50)の場合(いずれも同数量とする)

通常の計算 〔(20)+(-25)+(-50)〕/(80+125+150) = -15.5% → ダンピングなし
  ↓
ゼロイング  〔20+0+0〕/(80+125+150) = 5.6% → ダンピングあり

日本は2004年11月、米国のゼロイング方式自体とその実際の適用がWTO協定(アンチ・ダンピング協定等)に違反するとして、WTOに申し立てた。ダンピングは産品全体で判断すべきであり、「マイナス」の価格差を無視することはこれに反するとの立場から、定期見直し等におけるゼロイングもWTO協定違反であると主張した。

2007年1月にWTO上級委員会が日本の主張を認める報告書を発出しWTO協定違反が確定した

しかし、米国による是正勧告の履行が不十分であったことから、日本の要請に基づき2008年4月に履行確認パネルが設置された。
本年4月に日本の主張を全面的に認めるパネル報告書が発出され、これに対し、同5月米国が上級委員会に上訴していた。

今回の認定ではベアリングの損害を取り戻すことはできないが、米国が今後も是正しない場合は同規模の対抗措置を実施できる。

外務省は18日、外務大臣談話を発表した。

1.  本18日、ジュネーブにおいて、WTO協定違反が既に確定している米国のアンチ・ダンピング手続におけるゼロイングの問題に関する米国の履行状況について、WTO上級委員会が我が国の主張を認める報告書を発出したことを歓迎します。

2. 今回の上級委員会報告書は、本年4月に示された履行確認パネルの判断を踏襲し、米国がWTOの是正勧告を履行しておらず、また履行のために採られた措置はWTO協定に違反していることを認定しました。同報告書は、不当なアンチ・ダンピング税賦課による貿易の制限は容認されないことを明確にするもので あり、ルールに基づく自由貿易体制の維持・発展に寄与するものとして高く評価します。

米通商代表部(USTR)報道官は「非常に失望した」とし、今後の対応を議会と協議する方針を示した。

 


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 http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

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