Chevron は9月13日、豪州のGorgon Natural Gas Project 実施の最終決定を行ったと発表した。申請が西オーストラリア州首相により同日承認され、生産ライセンスが与えられた。
豪州北西部沖合にあるバロー島で直ちに年間生産能力1500万トンのLNG工場の建設に着手する。LNG輸出は2014年に開始の予定。
投資額は豪資源関連事業では過去最大となる約430億豪ドルで、大阪ガス、東京ガスなど日本勢が年間生産量の3割弱を受け取る見通し。
豪州北西部沖のGorgon計画は埋蔵量がLNG換算で約8億3千万トン(約40兆立方フィート)と世界最大規模で、最低40年の経済的耐用年数を持つ。
Chevronが50%、エクソンモービルとロイヤル・ダッチ・シェルがそれぞれ25%の権益を持つ。
本計画では発生するCO2の回収・貯留(CCS)技術の事業化に取り組む。
LNG設備の建設地の地下に40年間で約1億2千万トンのCO2を封じ込める計画で、豪政府も資金面などで支援する。
Chevronは本事業で2014年からの25年間、大阪ガスに年間約137.5万トン、東京ガスに110万トンのLNGを供給する。
加えて、大阪ガスはChevronから1.25%の権益を、東京ガスは1%の権益を取得した。両社は権益に応じた投資を行う。
また、中部電力もChevron との間で、年間150万トンの供給で基本合意している。
PetroChinaはExxonMobil とShell との間でここからのLNGの購入契約を締結している。
ExxonMobil からは20年間にわたり年間225万トン、Shellからは同じく20年間にわたり年間200万トンを購入する。
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日揮の参加するKellogg Joint Venture - Gorgon は年産1,500万トン(500万トンX3系列)のLNGプラント、および豪州国内向けガス出荷設備(年産約23億立方メートル)に係る設計、機材調達管理、建設工事管理および試運転管理役務を受注した。
JVメンバーは日揮 30%、KBR(Kellogg, Brown &Root) 30%、豪 Clough 20%、カナダ Hatch 20%で、受注額は約27億豪ドル(約2,300億円)を見込んでいる。
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周辺には多くのガス田がある。
1)North West Shelf
1970年代初頭に西豪州北西部沖合い約130kmにある鉱区で発見された。LNGの他、原油・コンデンセート・LPG等を生産・販売する豪州最大の総合エネルギープロジェクト。
日本勢を含めた6社が1/6ずつ参加する。
Japan Australia LNG (MIMI) Pty., Ltd(通称MIMIー三井物産・三菱商事の折半出資)
BHP Billiton Petroleum
BP Developments Australia
ChevronTexaco Australia
Shell Development
Woodside Energy
1984年にコンデンセート販売を開始、1989年からは日本の電力・ガス会社向けにLNG供給を開始、1989年にはWanaea油田、Cossack油田が発見され同油田からの原油及びLPG生産が1995年から開始された。
2004年9月、それまでの計3トレインに加え、第4トレインが運転を開始、その後の増強で総生産量は1,190万トン/年へと拡大した。
2008年の第五系列完成により生産能力は年間約 1,590万トンとなる。
2)Pluto
豪州のWoodsideは2007年7月、Pluto LNG事業への投資を最終決定した。
東京ガス、関西電力は、同日、Pluto からのLNG購入に関して最終合意し、またそれぞれ5%の権益を取得して同事業に参加することを明らかにした。
Pluto液化設備能力は480万トン/年であるが、Woodsideはこれを1,200万トン/年までの設備拡張が可能として、液化事業を拡張するPlutoハブ計画を進めようとしている。
液化設備建設場所: Burrup半島のBurrup LNG Park、NWS液化基地に隣接
液化設備能力: 480万トン/年 (1,200万トンまで拡張可能)
ガス田: Pluto、Xena
ガス埋蔵量: 5 Tcf (Pluto 4.4 Tcf +Xena 0.6 Tcf)
生産開始時期: 2010年末年間生産量430万トンのうち、東ガス、関電に合計375万トンを供給する計画。
Woodsideは北西部沖のBrowseと北部沖Greater Sunriseの両事業で、年内にもLNG設備の建設地を選定する。投資額は合わせて600億豪ドルを超えると見られている。
3)Browse
Torosa、Brecknock、Callianceガス田。
埋蔵量は合わせて14兆立方フィートのドライガスと370百万バレルのコンデンセート。
Woodside Energyがオペレーターとなり、BHP Billiton、BP Developments Australia、Chevron Australia、Shell Development Australia がJVに参加している。
4)Greater Sunrise、Bayu-Undan
豪州と東チモールの間にあり、権利関係が問題となっていたが、両政府は2005 年11 月末、両国間の境界問題の解決を50 年間先送りした上で、チモール海における石油ガス収入の分配方法に関して基本合意した。
チモール海共同石油開発海域(Joint Petroleum Development Area:JPDA)のBayu-Undan油・ガス田の石油等の生産収入の配分比率(東チモール=90%、豪州=10%)、およびGreater Sunrise ガス田のユニタイゼーション比率(JPDA=20.1%、豪州=79.9%)を従来の合意どおりとした上で、Greater Sunrise ガス田から両国政府が得る収入の配分比率を50%ずつとするというもの。
Bayu-Undan
埋蔵量 石油分約4億バレル(コンデンセート・LPG)と天然ガス約3.4兆立方フィート(LNG換算約8,000万t)
Conoco Phillips | 56.72% |
Eni | 12.04% |
Santos (豪) | 10.64% |
国際石油開発(日) | 10.53% |
Tokyo Timor Sea Resources | 10.08% |
(東京電力 2 /東京ガス 1) |
Greater Sunrise計画は埋蔵量1億6千万トンで、Woodside がオペレーターとなり、大阪ガスを含む次の各社がJVをつくっている。
Woodside | : | 33.44% |
Conoco Phillips | 30.00 | |
Shell | 26.56 | |
Osaka Gas | 10.00 |
5)Ichthys
国際石油開発帝石は北西部沖「イクシス」事業(埋蔵量約2億6千万トン)で、仏トタルと組み総額2兆円を投じる計画の詰めを急いでいる。約850キロメートルのパイプラインを敷設。北部ダーウィンに建設する設備で15年から年間800万トンを生産、日本への搬出を始める。
プロジェクト参加権益比率(WA-285-P 鉱区参加権益比率)
インペックス西豪州ブラウズ石油:76%(オペレーター)
Total E&P Australia:24%
可採埋蔵量:
天然ガス12.8 兆立方フィート(含LPG)、コンデンセート5 億2,700 万バレル
(原油換算合計約30 億バレル)
生産開始(予定):
2014 年内乃至2015 年のできるだけ早い時期
生産量(予定):
LNG 年間800 万トン超、LPG 年間160 万トンおよびコンデンセート日量10 万バレル(ピーク時)。
付記
東京電力は12月5日、Wheatstone LNG プロジェクトの11.25%をChevronから取得したと発表した。
Chevronが中心となって開発中で、同国北西部沖合の海底ガス田で天然ガスを産出、同国内で精製・液化する。2016年度以降操業を開始、年間最大860万トンを生産する計画。
東電がこのプロジェクトで調達を見込む年間LNG量は、権益による確保分と購入分を合わせ、東電が火力発電で年間に消費するLNGの約2割に相当する最大410万トン。
* 総合目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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