Huntsmanは8月31日、世界第三位の酸化チタンメーカーで再生法(Chapter 11)適用中のTronox Incorporated の主要資産の買収の"stalking horse" 契約を締結したと発表した。
Chapter 11は通常は企業再生のためのものだが、優良事業だけを原則として売却し、数年かけて清算する手段としても使用される。
Stalking horse (直訳すれば「当て馬」)方式では、非公式に資産の買い手候補を探し、最もよい条件を提示した買い手候補(Stalking horse)を選択し、それよりも良い条件の買い手が出れば入札で買い手を決め、なければその買い手候補が当初の条件で購入する。
Huntsmanよりもよい条件の買い手が現れなければ、Huntsmanが買収できる。
買収対象はTronox の次の事業
・オランダと米国(Savannah, Georgia を除く)の酸化チタン製造設備
・南アのExxaro Resources との豪州での酸化チタンの50/50JVの持分
・米国の電解製品製造設備(2工場)
(電解二酸化マンガン、塩素酸ソーダ、三塩化ホウ素、エレメンタルホウ素、酸化リチウムマンガン)
Tronoxは他にオランダに酸化チタン製造設備を持っている。
豪州JVの相手のExxaro Resources はHuntsmanによる肩代わりに条件を付けるとしている。
買収金額は運転資金込みで415百万ドルとなる。Huntsmanはこのうちの半分を借入金で賄う。
同社はPigments 部門で酸化チタンを扱っており、CEOは「これら資産を既存のPigments 部門に加えることにより、効率を高めることが出来る」とし、収益性と資金繰りの改善に役立つとしている。
同社の事業 2007/2/20 ハンツマン、米国の汎用品事業を売却
Huntsman はHexionと合併契約を締結したが、Hexionが解約しようとしたため、裁判になり、最終的にHuntsmanが10億ドルの解約金を受け取り、合併契約を破棄した。更に銀行からも1,732百万ドルの和解金を受け取っている。
2009/6/24 Huntsman、銀行と和解
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Tronox は本年1月12日にChapter 11 を申請した。
同社は2006年に米国の独立系石油企業であるKerr-McGee からスピンオフした。
その直後にKerr-McGee は Western Gas Resoucesとともに、独立系石油企業のAnadarkoに買収された。
Chapter 11 申請は主にKerr-McGeeから引き継いだ負債(legacy liabilities)によるもので、環境汚染の復旧費用と訴訟費用が中心である。
銀行から125百万ドルのDIPファイナンス(一時的な運転資金)を受けている。
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http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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