カナダのAthabasca Oil Sands Corp. は8月31日、PetroChina との間で、PetroChina がAthabasca のMacKay River 及び Dover オイルサンド計画の60%の権益を取得する契約を締結したと発表した。対価は19億カナダドル。
両地域はAlberta州北東部のAthabasca 地域にあり、それぞれビチューメン埋蔵量50億バレルと想定されている。
流動性のない高粘度のタール状原油を含む砂岩層を、オイルサンドという。
採取された原油は、粘性に応じてビチューメン、あるいは超重質油と呼ばれる。
(世界石油会議の定義では、API 比重が 10 度以下で、粘性が10,000 Cp 以上のものを天然ビチューメンと呼んでいる)
2009年末にもMacKay Riverで最初の日量35千バレルの商業計画の申請を行う。
Athabasca Oil Sandsでは「オイルサンド事業は資本集約の長期投資で、通常のファイナンスは難しく、このためJV方式を選んだ」としている。世界最大のエネルギー会社の一つであるPetroChina をパートナーに選ぶことで、タイムリーに開発が進むと期待している。
更に、PetroChinaの中国北東部の石油施設でPetroChinaが重質油開発技術(SAGDや火攻法など)をもっていることも、同社を選んだ理由の一つとしている。
SAGD:steam assisted gravity drainage スチーム補助重力排油法
オイルサンド油層内に上下平行な水平坑井 2坑(水平区間は 500 ~1,000m 、上下の水平井の距離は 5m 程度)を掘削し、上位の井戸で水蒸気を圧入する。
圧入された水蒸気は井戸周辺に広がり熱伝導によって周囲のビチューメンが加熱され流動化する。
流動化したビチューメンは水より高比重のため重力により下方へ移動し、下位の井戸内へ排出され回収される。他にCyclic Steam Stimulation(CSS)法がある。
詳細は 2008/2/4 Dow Canada、オイルサンドからのエタン、エチレン購入契約
火攻法(Fire-flood)
油層に熱エネルギーを与えることにより、原油の粘度を下げて採収率を増加させる方法で、油層内において原油の一部を燃焼させることにより熱エネルギーを発生させる方法。
他に、地上で発生させた熱エネルギーを水蒸気の形で油層に圧入する水蒸気圧入法(steam injection)がある。
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中国勢は既にカナダのオイルサンド事業に参加している。
中国海洋石油は2005年4月に、カナダのオイルサンド開発企業・MEGエナジーの株式の16.69%を1億5千万カナダドルで買収した。
SINOPECは同年6月、カナダのアルバータ州ノーザンライツにおけるオイルサンド事業の権益の40%を1億5千万カナダドル(約130億円)で買収した。
* 総合目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
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