米司法省は9月2日、医薬品大手Pfizer が、医薬品の違法な販売促進があったことを認め、罰金と和解金を合わせ計23億ドルを政府側に支払うことで合意したと発表した。
同社は抗炎症薬Bextra の不正表示で食品医薬品化粧品法違反を認めた。
食品医薬品化粧品法ではFDAへの医薬品申請に当たり、対象とする効能を特定しなければならない。
承認されれば、目的外(off-label) 用途で販売したり、販売促進をしてはならない。
同社はFDAが安全性の問題で承認しなかった用途でBextraの販売促進を行っていた。
罰金としてPfizer が11.95億ドル、子会社Pharmacia & Upjohnが1.05億ドルを支払う。合計額は13億ドルで、米国で過去最高の罰金となる。(PfizerはBextraを2003年のPharmacia 買収を通じて取得した。)
加えて、Pfizerは4つの医薬品(Bextra、抗精神病薬Geodon、抗生物質Zyvox、抗てんかん薬 Lyrica)を違法に販売促進したこと、本来は公的医療保険が適用されないのに保険申請したことで、虚偽請求取締法に基づき、10億ドルの和解金を支払う。
司法省によると、Pfizerの営業部はFDAが承認していない用途に関する情報を医師らにメールで提供した。同社はこのほか、医師らをリゾート地で接待して同社製品を処方するよう勧めたり、「バイアグラ」などを処方した医療機関に奨励金を支払う制度を設けていた。
製薬会社の詐欺行為では罰金も和解金も過去最高額になる。
これまではEli Lilly が統合失調症治療薬のZyprexaを、当局から認可を受けていない用途向けに販売した問題で本年1月に合意したものが過去最大だった。
罰金が515百万ドルと100百万ドルの資産没収、和解金が800百万ドルの合計1,415百万ドルであった。
ニューヨーク州のクオモ司法長官は「Pfizerは自社の利益を出すために、米国中の納税者を騙した」と批判している。
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Pfizer はBextra とCelebrex の副作用で健康被害を受けたとして、患者などから訴えられ、昨年10月に総額894百万ドル和解金で原告側の大半と和解している。
同社はBextra については2005年に自発的に撤退した。
2008/10/21 米ファイザー、消炎鎮痛剤の健康被害訴訟で和解
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http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
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