シャープは8月31日、国務院国有資産監督管理委員会が直轄する中国最大級の電子・情報通信企業集団「中国電子信息産業集団(CEC)」と液晶パネル事業で提携することを発表した。
CECと江蘇省、南京市とのJVの南京中電熊猫信息産業集団(CECパンダ)の液晶事業会社「南京中電熊猫液晶顕示科技」に対し、液晶の生産技術およびノウハウを提供するとともに、亀山第1工場の最先端生産技術を盛り込んだ第6世代(1500mmx1800mm)生産設備を売却し、新会社が南京市において進める第6世代液晶パネル工場の建設と生産に協力する。
2011年3月までの稼動をに予定している。
また、南京市、CECと第8世代(2,160mm×2,460mm)の液晶パネル生産の合弁事業について協議を進めていくことを確認した。
中国電子信息
産業集団(CEC)70% 〉 南京中電熊猫信息
産業集団(CECパンダ)ー 南京中電熊猫
液晶顕示科技江蘇省 15% 南京市 15%
さらに、シャープは液晶パネルから液晶テレビに至る設計開発を行う「液晶設計開発センター」を2010年4月に南京市に設立する。
同社は既に南京市で液晶モジュールから液晶テレビまでの一貫生産を行っており、今回の開発センター設立及び液晶パネルと液晶モジュール生産決定で、設計開発、液晶パネルおよびモジュールの生産、そして液晶テレビの組み立てまでを行う垂直統合体制を構築する。
同社では関連企業の進出が進み、「南京市クリスタルバレー」が構築されることを期待している。
クリスタルバレー構想は、液晶ディスプレイなどフラットパネルディスプレイの組み立て工場およびその要素技術を持つ企業や研究機関を誘致することを核とするもの。
青森県の「むつ・小川原工業団地」の再建策の議論の中から、青森クリスタルバレー構想が生まれた。但し、進出企業は1社のみ。
三重県では、2000年当時の北川正恭知事がシャープ本社を訪問し、シャープ経営陣に三重県への液晶産業集積を要請を主としたトップセールスを行った。
2004年1月、シャープ亀山工場が稼動を開始、日東電工、凸版印刷など20社を超える液晶関連企業が三重県に進出を決めた。さらに2006年8月にはシャープ亀山第二工場が稼動を開始した。山形県では「有機ELバレー構想」を進めている。
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シャープが堺市に建設中の液晶パネル新工場は10月に稼動する。
最先端の液晶パネル工場と、薄膜太陽電池を量産する太陽電池工場を併設する「21世紀型コンビナート」である。
ここでは最新の第10世代(2,880mmx3,130mm)を月72千枚(当初は36千枚)生産する。
2007/12/5 シャープの「21世紀型コンビナート」
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シャープは従来の国内一貫生産の方針を転換した。
本年4月8日の経営戦略説明会では、「新しいビジネスモデルによる事業展開」として、
・消費地生産でのValue Chain の確立(前半工程の現地化)
・現地有力企業とのアライアンス
により、投資額の最小化による投資効率の最大化、Cashflow 改善を狙うとしている。
http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/event/policy_meeting/pdf/shar090424_1.pdf
* 総合目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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