世界の石油化学製品の今後の需給動向(詳細)

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既報の通り、経済産業省は825日、エチレン系・プロピレン系誘導品及び芳香族製品等の石油化学製品についての、西暦2013年までの世界の需給(需要、生産能力、生産量)の動向をとりまとめ、発表した。

既報 2009/8/26 世界の石油化学製品の今後の需給動向
    2009/9/1   <p><p><p>HTML clipboard</p></p></p>世界のエチレン系誘導品の需給予想

既報で資料が未発表としたのは誤りで、下記が発表されている。

経産省発表

世界の石油化学製品の今後の需給動向

(別紙)世界の石油化学製品の今後の需給動向

2008年の需要が世界的景気減速の影響により激減したが、その後は世界全体で経済の回復が達成されることを前提に昨年度版より需要の伸び率が縮小するものの、緩やかに回復していくと見ている。

昨年度版では、2006~2012年のエチレン系誘導品の世界全体の需要量の伸び率を年平均約4.8%と推計していたが、今回は同期間で年平均約1.7%と伸び率が減少する見込み。プロピレン系誘導品の需要量の見通しにも同様。


エチレン系製品の需要の伸びは地域別に傾向が異なり、アジア地域が年平均+3.9%程度。中国の需要増が大きく、中国1ヶ国のみで、2007年から2013年までの間に780万トンの需要増。
一方、北中南米は年平均+1.3%、西欧は年平均 -1.1%で推移する見通し。

なお、2009年から2013年のアジア全体の伸びは、年平均で5.7%でエチレン換算で1,037万トンの増となっている。

世界のエチレン系誘導品の生産能力(エチレン換算)は、2007年末時点で130.7百万トンだが、現時点において2013年までに稼働する可能性の高い生産能力新増設計画に基づくと、2013年末の生産能力は159.6百万トンと2007年比で29百万トンの増とみている。

2013年の需要量は127.6百万トンの予想で、32百万トンもの過剰能力となっている。(実際には上記に加え、多くの新設があると思われる。)
2013年の需要水準では現在の能力でも十分という状況である。
 

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中国の需給予想は以下の通り。

中国については2008年も需要減はなく、2007年以降平均6.5%で伸びるとしている。

中国政府は早くも昨年11月に、2010年末までに総額4兆元(約57兆円)規模の投資を実施するとの緊急経済対策を発表した。
(地方政府の経済対策を入れると150兆円になるとの説もある)

さらに、中国国務院は本年に入り、国内の10産業について景気刺激策を順次発表した。

中国政府は2007年末に農村市場の消費刺激策として「家電下郷」(農村部に家電を)制度を策定し、2008年1月に導入したが、今回これを全国に適用し、対象製品を増やした。

また本年に入り、「汽車下郷」(農村部に自動車を)制度をスタートさせた。

中国の耐久財の生産は好調を続けているが、耐久財の需要増はこれらによるところが大きい。

他方、これまで中国経済の牽引車であった輸出は上期が前年比で21.8%減、7月も23.0%の減となっている。

中国の農村部と都市部の収入格差が実質 4-6倍前後になり、2000年当時(収入差は2.79倍)より経済の格差は大幅に拡大している。

2009/6/29 中国の現状

緊急対策資金が切れた後、需要がこの予想のとおりとなるのかどうかが大問題である。

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各国(地域)の需給は以下の通り。

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主要製品の需給予想は以下の通り。

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参考

昨年の記事  2008/5/29  世界の石油化学製品の今後の需給動向 


* 総合目次、項目別目次
 http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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