経産省化学課は2009年2月、高吸水性樹脂(SAP)の2008年出荷実績を発表した。
他の樹脂が大幅減収となるなかで、国内向け出荷は前年比105.3%の137,577トン、輸出は106.2%の299,154トンで、ともに過去最高を更新した。
国内の2008年末の能力は480千トンとなっている。
国内メーカーは、日本触媒、サンダイヤポリマー、住友精化、荒川化学、花王の5社。
(サンダイヤは三洋化成60%/三菱化学40%のJV)
このうち、日本触媒が260千トン、サンダイヤが125千トン、住友精化85千トンとなっている。
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住友精化は9月17日、堅調な需要の伸びに対応するため、姫路工場で高吸水性樹脂製造設備(設備能力24千トン/年)を新設すると発表した。新設備の稼動は2010年秋を予定している。
これにより同社グループの供給能力は190千トン/年となる。
姫路工場 86千トン(公称85千トン)→110千トン シンガポール 60千トン(公称55千トン) フランス 20千トン 合計 →190千トン シンガポール:Sumitomo Seika Singapore (Sakra島)
住友精化 80%、住化シンガポール 20%
当初 35千トンフランス:2008年3月、Arkema から高吸水性樹脂事業を買収
Arkema社 Carling工場の製造設備を活用、Arkemaに製造委託
当初生産能力は年産15千トン→20千トンに増強
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日本触媒は8月31日、米国の子会社NA Industries の高吸水性樹脂生産拠点の移設を発表した。
NA Industries は当初 Alco社とのJVであったが、同社が買収されたため日本触媒100%となっている。
テネシ-州チャタヌ-ガのSAP 生産設備(60 千トン/年)は旧式プラントで、老朽化に加え、次世代向けSAP の品質並びに生産において顧客の要求に十分対応できなくなっている。
このため、NA Industries は同社の関係会社のAmerican Acryl(テキサス州ヒューストン)のアクリル酸工場の横に、最新鋭のSAP プラントを建設し、アクリル酸からSAP の一貫生産を行う。
生産能力は現在と同じ60 千トンとし、2012 年6 月から商業運転を開始する。
American Acryl はNA Industries とAtofina Chemicals の50/50JVで、アクリル酸能力は120千トン/年。
なお、NA Industriesは現工場の他の製品、コンクリート混和剤用ポリマー(15千トン)、アクリル酸系ポリマー(30千トン)、アクリル系エマルション(7 千トン)等は生産を続ける。
日本触媒グループの高吸水性樹脂の生産能力合計は470千トンで変わらない。
姫路 320千トン 米国 60千トン NA Industries ベルギー 60千トン Nippon Shokubai Europe 中国 30千トン 日触化工(張家港)有限公司 合計 470千トン 従来、欧州ではBASFと提携し、年産24千トンの高吸水性樹脂を生産委託していたが、提携を解消した。
これに伴い1999年にBASFとの折半出資の販売子会社ULTRASORB Chemikalien を100%子会社化した。
その後、2001年にアントワープに自社工場を稼動させた。
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サンダイヤポリマーは三洋化成工業 60%/三菱化学 40%のJVで、2001年4月に営業を開始した。
それまでは、三洋化成は名古屋に年産85千トンのプラントを有し、三菱化学は日本合成化学工業との合弁のダイヤポリアクリレート(三菱化学 51%/日本合成化学 49%)大垣工場に年産10千トンのプラントを有していた。
現在の能力は以下の通り。
名古屋 105千トン 大垣 20千トン 中国 20千トン 三大雅精細化学品(南通)有限公司 合計 145千トン
参考 2007/8/31 日本触媒 アクリル酸工場再編 (アクリル酸、高吸水性樹脂の状況)
* 総合目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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