アブダビで新しい石油化学コンプレックスを建設中のChemaWEyaatのトップはこのたび、第一期計画は順調に進んでおり、2015年に完成すると述べた。
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アラブ首長国連邦のアブダビにはAbu Dhabi National Oil Company(ADNOC) 60%/Borealis 40% 出資のAbu Dhabi Polymers Company Limited (Borouge)などがある。
2006/6/2 湾岸諸国の石油化学ー3 アラブ首長国連邦(UAE)
アブダビ政府所有の国際石油投資会社(IPIC)は、2009年1月、「IPICは新規部門への投資を拡大している。IPIC はエネルギー部門、非エネルギー部門での良い機会を探している」と述べ、今後の投資活動の拡大に意欲を見せた。
アブダビ政府の投資計画のなかには、以下のものがある。
1)アブダビでの新しい石油化学事業
2)ホルムズ海峡迂回石油パイプライン事業
総延長距離370kmのHabshan(アブダビ首長国)~Fujayrah(フジャイラ首長国)間の石油パイプライン事業(通油能力150万B/D)を建設中。
Fujayrahに能力1000万バレルから1200万バレルのタンクを建設、ホルムズ海峡を通らず、ここから出荷する。
3)パキスタンのKhalifa Coastal Refinery 事業(能力25万B/D)
IPIC が 76%、Pak-Arab Refinery Companyが24%を出資し、50億ドルを投じるもの。Khalifa UAE大統領(アブダビ首長)の名前を取った。
基本的問題の解決まで延期
4)カスピ海事業
Abu Dhabi National Energy(Taqa:アブダビ政府75%出資)とKuwait Energyがカスピ海での共同石油・ガス事業を進める協定に調印している。
これには最大20億ドルまで投資する。
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新しい石油化学については、2008年にAbu Dhabi National Chemicals Company (ChemaWEyaat)が設立された。(ChemaWEyaatはChmical の意味)
出資はIPICが40%、アブダビ投資評議会(ADIC)が40%、Abu Dhabi National Oil (ADNOC)が20%である。
ChemaWEyaat はアブダビの Taweelah地区のMina Khalifa Industrial Zone にChemaWEyaat工業都市(Madeenat ChemaWEyaat) の建設を行う。
ここで石油化学事業に少なくとも700億ドルを投資する。
全てが完成すると、ChemaWEyaat工業都市はサウジのJubail Industrial Cityのようになり、石化コンプレックスはBASFの“Verbund” のように完全統合されたものとなる。
現在、第一期としてTacaamol 計画が既に建設準備を行っており、第二計画の Al ChemeyaがFS中である。
第一期計画の遂行のため、Chemaweyaat 51%/IPIC 49%出資でTacaamol が設立された。
Tacaamol は 100億ドル以上を投じて、以下のコンプレックスを建設する。
世界最大級の改質設備: 70千バレル/日
ナフサクラッカー: エチレン 1,450千トン、プロピレン 690千トン
BTX設備:パラキシレン 1,370千トン、ベンゼン 860千トン
エチレンオキサイド: 790千トン
メラミン: 80千トン
最終製品の能力は以下の通り(単位:千トン)
パラキシレン 1,370、ベンゼン 340、キュメン 400、フェノール 60、アセトン 110、
ビスフェノールA 160、ポリカーボネート 130、
PP 420、PE 950、
MEG 900、DEG 46、TEG 3、エタノールアミン 100、
ブタジエン 200、MTBE 140、
尿素 1,000、メラミン 80
本年5月に、Neste Jacobs(Neste Oil 60 %/Jacobs Engineering 40 %)が基礎設計エンジニアリング(FEED)を実施する契約を締結した。
本計画は上記の通り、2015年に完成する。
なお、第二期計画の Al Chemeyaは650千トンのプロパン脱水素2系列を中心としたプロピレン誘導品のコンプレックスとなる。
* 総合目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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