タイ中央行政裁判所は9月29日、同国東部のラヨン県マプタプット地区で計画されている石油化学などの76事業、総投資額4000億バーツについて、ラヨンの住民とAnti-Global Warming Association による違憲の訴えの最終判決を下すまで一時凍結するようタイ政府に命じた。
裁判が長引けば外国直接投資や雇用、経済全体への悪影響が避けられないと見られ、タイ政府は10月2日、凍結命令の取り消しを最高行政裁に求めた。
2007年発効のタイの現行憲法は地域の環境・健康に被害を与える恐れがある事業活動について、
▽環境・健康アセスメントの実施
▽公聴会の開催
▽ 環境・健康アセスメントを行う独立機関の設置――を義務付けている。
中央行政裁判所は今年3月、マプタプット地区で深刻な環境汚染が起きているとした原告住民の訴えを認め、全域を公害防止地域に指定するようタイ環境委員会に命令。これを受け同地区の住民と環境保護団体がPTTなどの事業が憲法の要件を満たしていないとして行政裁に建設中止を求めていた。
対象となる事業には以下のものが含まれる。
インドのAditya Berla Chemicals(アジア7位のセメントメーカー)の3計画
Bayerの2計画(ポリカーボネートか?)
豪州のBluescope Steel の計画
Siam Yamato Steel(Siam Cement と大和工業子会社ヤマトスチールほかのJV)の計画
MTP HPPO Manufacturing (DowとSiam Cement JV)の計画
タイの外国企業商工会議所議長は、これにより商業生産開始が遅れたり、資金が引き上げられるのを恐れるとし、政府が問題にきちんと対応するよう求めた。
環境保護は理解するが、環境保護と同時に投資とのバランスが取れるよう、法律をよく見て欲しいとしている。
25のプロジェクトが対象となったPTTは不満の意を表明し、凍結命令取り消しが拒絶された場合、他の企業と対応を検討するとしている。
JETROバンコックは、1970-80年代に同様の問題に対応した日本政府の経験を参考にして欲しいとしている。
タイ商工会議所では裁判所の命令が投資者の信用を危険なほど揺るがしているとし、早急に解決しないと外資が逃げてしまうとしている。
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