三菱ガス化学は中国・重慶市で計画していたメタノール合弁事業を白紙撤回する。10月7日の日本経済新聞が報じた。
原料の天然ガスの中国の価格が計画当初に比べて約2倍に高騰しており、価格や費用などの条件面で折り合わなかったという。
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当初の計画は、2005年上半期に三菱ガス化学 51%、重慶化医 49%出資で JV を設立し、投資額 2億ドルで年産85万トンのメタノール工場を建設するもので、2008年の建設完了を目指していた。
2004年8月に国家発展改革委員会(NDRC)から詳細事業化調査を行う正式許可を得て、FSを続けていた。
その後、状況が変わった。
国家発展改革委員会(NDRC)は2007年夏に、新しい天然ガス活用政策を発表した。8月30日から適用された。
天然ガスの利用は、都市ガス、産業ガス、発電、化学品の4つに分類され、都市ガス用の利用が最優先される一方、メタノール用の使用が禁止された。社会面、環境面、経済面を考えた選択としている。
メタノールについては、これから建設を開始する計画が禁止されるが、稼動中のものや建設完了のもの、ガスの供給契約を締結済みの建設中のものについては除外される。
2006年の中国のメタノールの生産量は 762万トンだが、メタノール能力のうち、75~80%が石炭ベース、20%程度が天然ガスベースで、残り僅かがコークス炉ガスやオフガスとなっている。
他の石油化学や発電用も制限又は禁止された。例えば石炭が豊富な地域での天然ガスによる発電は禁止される。
また、パイプ輸送を進めるため、大規模、中規模のガス田でのLNG製造計画が禁止された。
重慶化医集団によると、JVの計画は2007年7月5日に事業実施の承認を取得した。
新しい天然ガス活用政策ではメタノールの新規計画は禁止となるが、ガスの供給契約を締結済みの建設中のものについては除外されるため、本計画は禁止の対象にはならないとされた。
本計画の定礎式が2007年12月26日、副市長その他の出席のもと、重慶市の重慶ケミカルパークで行なわれた。
重慶化医によると、投資額は21億人民元(約290百万ドル)で、公称能力は年産85万トンだが、実能力は100万トンになるという。
2008年上半期に着工し、2010年の下半期のスタートを目指すとした。
しかし、三菱ガス化学側は何も発表しておらず、本事業をやるかどうかについて、まだ結論を出していないとした。
上記の天然ガス規制などに関連して(承認取り消しを恐れて)、中国側が実績つくりをした可能性もある。
2008/1/11 重慶ケミカルパークのメタノール事業
なお、三菱ガス化学では南京市の南京ケミカルパークにメタノール誘導品の子会社を持っている。
社名: 菱天(南京)精細化工 Lingtian (Nanjing) Fine Chemical Company Ltd.
出資:三菱ガス化学 85.1%
伊藤忠ケミカルフロンティア 10.0%
伊藤忠商事 4.9%
製品:ジメチルアミン、ジメチルホルムアミド(40千トン)及びジメチルアセトアミド(10千トン)
第二期計画として、トリメチロールプロパン
* 総合目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
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