Saudi Aramco、米国向け輸出の原油価格決定で英Argus Mediaの指標を利用へ

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Saudi Aramco は10月28日、米国向け輸出の原油価格を決定する際のベンチマークを来年1月から英Argus Media Argus Sour Crude Index (ASCI)に変更すると発表した。

Aramcoは米国向けの基準として1984年からMcGraw Hill傘下のPlattsが出すWTI crude prices を使っている。

日本向けにはドバイ原油とオマーン原油のスポット価格の月間平均値を足し、2で割ったものに調整金を付け加えて決める。
欧州ではロンドンのInternational Petroleum ExchangeでのBrent原油加重平均で決めている。

この件については、WTI原油が正確な需給を反映していないことが明らかになった2007年ごろから、Aramcoと買い手の間で議論が交わされていたとされる。

サウジは昨年米国に日量150万バレルを超える原油を輸出しており、カナダに次ぐ第二位の輸出国となっており、サウジにとり重要性が増している。

Argus Sour Crude Index 米国メキシコ湾岸地域の中質サワー原油現物価格の指数として本年5月から出されている。
メキシコ湾岸のMars
PoseidonSouthern Green Canyon原油の全ての取引の加重平均価格である。
メキシコ湾岸の生産量は現在の120万バレルから来年には140万バレルに、2013年には190万バレルになると見られている。

サワー(sour)原油は原油中に硫化水素が 0.04 モル%以上含まれている原油をいう。

Argus では、ASCIは取引全体の加重平均を使っており、最も透明性が高い、健全な指標であり、今回の決定はこれが原油価格の指標としては正しいものであるということを示していると述べた。

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WTI原油の価格は、WTI原油の受け渡しが行われるオクラホマ州Cushing 周辺での貯蔵能力の影響を大きく受ける。また、投機資金の影響で乱高下するなど、市場参加者からは、値決めの基準となる「マーカー原油」としての役割を疑問視する声が上がっていた。

メキシコ湾岸原油の取引価格指標のASCIはドバイやウラル原油価格と同じ動きをしている(下の右図)。
それに対し、WTIは
そのASCIに比べ、上下が激しい(左図)。 

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