注目企業の9月中間決算-2 住友化学、三井化学

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両社とも当期損益は赤字となった。

営業損益では、昨年第4四半期から本年第1、第2四半期と急速に改善はしているが、本中間決算では両社の石油化学、住友化学の情報電子化学が赤字となっている。

特に、石油化学については、主として中国向け輸出が好調で、エチレンはフル操業を続けているにもかかわらず、赤字である。
(輸出は内販と比較して価格が安く、採算は悪い。)

中国の需要は「家電下郷」などの景気刺激策に負うところが大きく、いつまでも続かない。
更に、ナフサ価格の更なる上昇、中東・中国の新設備完成など、今後のマイナス要因が多い。

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住友化学 

中間決算実績は当初予想(営業損益 -50億円、当期損益 -200億円)よりは大きく改善し、営業損益は112億円の利益となったが、大日本住友製薬等の少数株主利益の控除が大きく、当期損益は赤字となった。

中間決算では無配とし、期末配当は6円と予想している。

                                単位:百万円(配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益  配当
中間 期末
08/9中間 1,009,207  31,009  22,973  6,288  6.0  
09/9中間 735,205 11,172 7,788 -3,485 0.0  
増減 -274,002 -19,837 -15,185 -9,773 -6.0  
             
09/3 1,788,223 2,114  -32,624  -59,164  6.0  3.0
10/3 1,620,000  35,000  20,000  10,000  0.0  6.0

セグメント別には基礎化学(合繊原料、MMAなど)、石油化学、情報電子化学が赤字となったが、農業化学、医薬品が好調。

「ラービグ計画」は、第1四半期から順次稼動を始めたが、まだ業績には寄与していない。

 
営業損益対比(億円)
  中間決算対比   09/3   四半期対比
08/9中 09/9中 増減 08/4Q 09/1Q 09/2Q
基礎化学  -12 -38  -26    -153   -77 -28 -10
石油化学  -101 -63  38    -303   -198 -56 -7
精密化学  22 1 -21    16   -20 -1 2
情報電子化学  123 -57  -180    -10   -187 -31 -26
農業化学  123 128 5     244   90 58 70
医薬品  192 158 -34    324   34 98 60
その他  -36 -20  15    -79   -47 -20 -1
全社  -1 4   5    -17   2 4 0
営業損益合計  310 112  -198    21   -402 23 89
 

四半期別に見ると、基礎化学、石油化学、情報電子化学ともに、赤字は急速に減少している。

なお、大日本住友製薬は若干の増益となった。

2010年3月予想には、10月に買収し子会社化した米医薬会社Sepracor Inc.の業績は含んでいない。

                               単位:百万円(配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益  配当
中間 期末
08/9中間 134,358  18,177  18,208 10,870  9.0  
09/9中間 132,210 18,919 19,053 12,654 9.0  
増減 -2,148 742 845 1,784 -  
             
09/3 264,037 31,166 31,395 19,987  9.0  9.0
10/3  264,000 29,000  27,000 18,000  9.0  9.0

 

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三井化学

前期に比して大幅な減収で、営業損益・経常損益・当期損益ともに赤字となった。
上期の配当は無配とし、下期は未定としている。

                                   単位:百万円(配当:円)
  売上高 営業損益  経常損益 当期損益  配当
中間 期末
08/9中間  905,615   9,989  13,343  7,640  6.0  
09/9中間 549,869 -19,010 -22,131 -31,363 0.0  
増減 -355,746 -28,999 -35,474 -39,003 -6.0  
             
09/3 1,487,615  -45,493 -50,768 -95,237   6.0  3.0
10/3 1,210,000 -15,000 -23,000 -39,000  0.0  未定

セグメント別には機能材料、基礎化学品の赤字が大きい。

機能材料については、前年同期比 187億円の採算悪化で、数量差が-76億円、交易条件差が-144億円となっている。
基礎化学品は113億円の採算悪化で、数量差が -151億円となっている。
全社合計では数量差が-263億円、交易条件差が-136億円、固定費差その他が+109億円となっている。

通期予想でも両セグメントは赤字となっている。

 
営業損益対比(億円)
  中間決算対比   09/3 10/3   四半期対比
08/9 09/9 増減 08/4Q 09/1Q 09/2Q
機能材料  92 -95  -187    -160 -105   -258 -67 -28
先端化学品  36 29  -7    73 90   22 8 21
基礎化学品  -2 -115 -113    -320 -95   -327 -70 -45
その他  -2 10  12    1     -0 2 8
全社  -24 -19  5    -49 -40   -12 -8 -11
営業損益合計  100 -190  -290    -455 -150   -575 -135 -55
 
機能材料 自動車・産業材(エラストマー)、包装・機能材(工業樹脂)、生活・エネルギー材(機能加工品)、
電子・情報材(電子材料、情報材料、機能性ポリマー)、ウレタン樹脂原料
先端化学品 精密化学品、農業化学品
基礎化学品 基礎原料(エチレン、プロピレン等)、フェノール、合繊原料・ペット樹脂、工業薬品、PE、PP
その他 その他関連事業等

四半期別に見ると、機能材料、基礎化学品ともに、赤字は急速に減少はしているが、先端化学品(精密化学品、農業化学品)の黒字幅が小さく、赤字部門の赤字を吸収できない状態にある。

農業化学品・医薬品の黒字が大きい住友化学との違いとなっている。

 


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