主要合繊3社の中間決算で、炭素繊維や産業用樹脂の需要が減り、全社が最終赤字に転落した。
3社とも炭素繊維を含むセグメントは3四半期連続赤字で、回復時期が見えない。
帝人
営業損益は黒字だが、最終損益は257億円の赤字だった。
合成繊維などの需要が減少したほか、工場の稼働率低下などで多額の特別損失を計上した。
異常操業損失 -82億円、減損損失 -22億円、事業構造改善費用 -32億円、
金銭信託の追加拠出 -72億円
単位:百万円(配当:円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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セグメント別には化成品は第2四半期に黒字となったが、合成繊維は赤字が続く。
営業損益対比(億円)
中間決算対比 09/3 四半期対比 08/9中 09/9中 増減 08/4Q 09/1Q 09/2Q 合成繊維 41 -73 -114 -28 -69 -40 -33 流通・リテイル 20 10 -9 39 6 2 8 化成品 39 5 -34 2 -51 -19 24 医薬医療 107 125 18 248 65 65 60 IT・新事業 5 8 4 36 28 1 7 全社 -61 -48 14 -118 -23 -24 -24 営業損益合計 51 28 -123 179 -44 -15 43 *合成繊維:パラアラミド繊維、炭素繊維、PEN繊維、ポリエステル繊維
化成品:ポリカーボネート、PENフィルム、PEN樹脂、ポリエステルフィルム、ポリエステル樹脂
東レ
営業損益は黒字だが、最終損益が63億円の赤字となった。
単位:百万円(配当:円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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炭素繊維は航空機や産業向けなどで需要が低迷したほか、減産を継続したことも利益を圧迫した。
営業損益対比(億円)
中間決算対比 09/3 四半期対比 08/9中 09/9中 増減 08/4Q 09/1Q 09/2Q 繊維 62 2 -60 77 -23 -11 13 プラスチック・ケミカル 82 11 -71 41 -67 -9 20 情報・通信機器 96 53 -43 98 -30 15 38 炭素繊維複合材料 56 -18 -73 84 -3 -8 -10 環境・エンジニアリング 2 -1 -3 33 29 -15 14 ライフサイエンスその他 8 0 -7 32 23 -3 3 全社 -3 7 10 -4 -2 6 0 営業損益合計 303 55 -248 360 -71 -24 79
三菱レイヨン
営業損益、経常損益、当期損益とも赤字で、2010年3月期通期でも赤字の予想。無配とした。
なお、買収したルーサイトは2009年5月に連結子会社とした。中間決算では株式取得以降6月までの実質1か月分のみ含まれている。
単位:百万円(配当:円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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同社は2006年3月期より、退職給付会計における数理計算上の差異の処理方法を、発生の翌年度に営業費用として一括償却する方法に変更している。数理計算上の差異償却を除くと、営業損益は以下の通りとなる。
08/9中間 5,956 09/9中間 80 増減 -5,876
セグメント別では、アクリル繊維・ANと炭素繊維・複合材料は3四半期連続して赤字である。
化成品・樹脂は第2四半期に大きく改善した。
営業損益対比(億円)
中間決算対比 09/3 四半期対比 08/9中 09/9中 増減 08/4Q 09/1Q 09/2Q 化成品・樹脂 52 53 1 44 -16 -6 59 アクリル繊維・AN -29 -12 17 -91 -28 -6 -6 炭素繊維・複合材料 25 -41 -65 19 -18 -28 -13 アセテート・機能膜 10 -1 -11 10 -2 -5 5 全社 1 1 -0 1 0 2 -1 営業損益合計 60 1 -59 -17 -64 -42 43 * 化成品・樹脂:MMAモノマー、アクリル樹脂(成形材料、板、フィルム)、高級エステル、
樹脂改質剤、ABS樹脂、アクリロニトリルほか
* 総合目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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