注目企業の9月中間決算-5 帝人、東レ、三菱レイヨン

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主要合繊3社の中間決算で、炭素繊維や産業用樹脂の需要が減り、全社が最終赤字に転落した。
3社とも炭素繊維を含むセグメントは3四半期連続赤字で、回復時期が見えない。

 

帝人

営業損益は黒字だが、最終損益は257億円の赤字だった。
合成繊維などの需要が減少したほか、工場の稼働率低下などで多額の特別損失を計上した。

異常操業損失 -82億円、減損損失 -22億円、事業構造改善費用 -32億円
金銭信託の追加拠出
-72億円

                                単位:百万円(配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
中間 期末
08/9中間  489,871 15,070 8,915  415  3.0  
09/9中間 360,192 2,784 -3,618 -25,783 0.0  
増減 -129,679 -12,286 -12,533 -26,198 -3.0  
             
09/3 943,409 17,966 -2,680 -42,963  3.0  2.0
10/3 760,000 13,000 1,000 -28,000  0.0  2.0

セグメント別には化成品は第2四半期に黒字となったが、合成繊維は赤字が続く。

 
営業損益対比(億円)
  中間決算対比   09/3   四半期対比
08/9 09/9 増減 08/4Q 09/1Q 09/2Q
合成繊維  41 -73  -114     -28   -69 -40 -33
流通・リテイル 20 10 -9   39   6 2 8
化成品  39 5 -34   2   -51 -19 24
医薬医療 107 125 18     248   65 65 60
IT・新事業 5 8 4    36   28 1 7
全社  -61 -48   14   -118   -23 -24 -24
営業損益合計  51 28 -123   179   -44 -15 43
 *合成繊維:パラアラミド繊維、炭素繊維、PEN繊維、ポリエステル繊維
   化成品:ポリカーボネート、PENフィルム、PEN樹脂、ポリエステルフィルム、ポリエステル樹脂
 

東レ

営業損益は黒字だが、最終損益が63億円の赤字となった。

                                単位:百万円(配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
中間 期末
08/9中間  800,865 30,295 27,497 10,532  5.0  
09/9中間 617,928 5,493 -2,678 -6,320 2.5  
増減 -182,937 -24,802 -30,175 -16,852 -3.0  
             
09/3 1,471,561 36,006 20,522 -16,326  5.0  2.5
10/3 1,300,000 25,000 10,000 0  2.5  2.5

炭素繊維は航空機や産業向けなどで需要が低迷したほか、減産を継続したことも利益を圧迫した。

 
営業損益対比(億円)
  中間決算対比   09/3   四半期対比
08/9 09/9 増減 08/4Q 09/1Q 09/2Q
繊維  62 2   -60     77   -23 -11 13
プラスチック・ケミカル 82 11 -71   41   -67 -9 20
情報・通信機器  96 53 -43   98   -30 15 38
炭素繊維複合材料  56 -18 -73      84   -3 -8 -10
環境・エンジニアリング  2 -1 -3   33   29 -15 14
ライフサイエンスその他  8 0 -7     32   23 -3 3
全社 -3 7   10   -4   -2 6 0
営業損益合計 303 55 -248   360   -71 -24 79
 

三菱レイヨン

営業損益、経常損益、当期損益とも赤字で、2010年3月期通期でも赤字の予想。無配とした。

なお、買収したルーサイトは2009年5月に連結子会社とした。中間決算では株式取得以降6月までの実質1か月分のみ含まれている。

                                単位:百万円(配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
中間 期末
08/9中間  198,292 2,942 3,644  126  3.0  
09/9中間 149,789 -2,501 -9,186 -9,776 0.0  
増減 -48,503 -5,443 -12,830 -9,902 -3.0  
             
09/3 345,048 -7,612 -3,758 -28,950  3.0  1.0
10/3 370,000 4,600 -7,000 -8,500  0.0  0.0

同社は20063月期より、退職給付会計における数理計算上の差異の処理方法を、発生の翌年度に営業費用として一括償却する方法に変更している。数理計算上の差異償却を除くと、営業損益は以下の通りとなる。

08/9中間  5,956
09/9中間 80
増減 -5,876

セグメント別では、アクリル繊維・ANと炭素繊維・複合材料は3四半期連続して赤字である。
化成品・樹脂は第2四半期に大きく改善した。

 
営業損益対比(億円)
  中間決算対比   09/3   四半期対比
08/9 09/9 増減 08/4Q 09/1Q 09/2Q
化成品・樹脂  52 53    1     44   -16 -6 59
アクリル繊維・AN -29 -12 17   -91   -28 -6 -6
炭素繊維・複合材料   25 -41 -65   19   -18 -28 -13
アセテート・機能膜   10 -1 -11      10   -2 -5 5
全社  1 1  -0   1   0 2 -1
営業損益合計   60 1 -59   -17   -64 -42 43
 * 化成品・樹脂:MMAモノマー、アクリル樹脂(成形材料、板、フィルム)、高級エステル、
            樹脂改質剤、
ABS樹脂、アクリロニトリルほか
 

 


* 総合目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

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