Braskem、メキシコでProject Ethylene XXI を実施

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Braskem 119日、メキシコのProject Ethylene XXI のための原料エタンの入札(Pemex Gasによる)で、メキシコの化学会社IDESAと組み、落札したと発表した。

メキシコ政府は2004年に同国の石油化学の拡大のため、野心的な "Phoenix project" を打ち出した。
国営石油会社 Pemex がパートナーとしてカナダの Nova Chemicals とメキシコの私企業2社 Idelpro Grupo Idesa を選んだが、Pemex が天然ガス等の原料の価格を米国の市場価格ベースにするよう主張したため、話がまとまらなかった。

2008年2月、Felipe Calderón 大統領は、新しく年産100万トンのエチレンコンプレックスを建設して同国の石油化学を復活させるための入札を発表した。
今回の計画には Pemex
自体は参加せず、長期契約での原料のエタン、天然ガスの購入の入札を行なうこととした。

2008/2/23 メキシコ政府、第二のPhoenix project 開始

Project Ethylene XXI Veracruz州のCoatzacoalcos Petrochemical Complex2015年に操業開始を予定している。
メキシコは現在、年間100万トン以上のPEを輸入しており、これを自製しようという政府の方針に基づく。

Braskemが主導でIDESAが参加するJVが運営に当たる。
・競争力ある価格で原料エタンを
Pemex Gasから20年間の契約で購入する。
・エタンを原料に年産
100万トンのエチレンクラッカーを建設する。
3系列合計年産100万トンのPEプラントを建設する。

エチレンの一部は、PEMEX Petroquimicaの既存のVCMプラントに供給される。VCMプラントは同じCoatzacoalcosにあり、3年内にデボトルネックされる。

投資額は5年間で25億ドルと想定されており、70%を借入金、30%を自己資本で賄う計画で、Braskem201012月までに最終的な投資計画を確定する。

Project Ethylene XXIBraskemの米大陸におけるレジンのリーダーになるという戦略を補完するものとなる。

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当初、メキシコの化学会社3社、Mexichem、IDESAAlpekが参加を表明した。3社は昨年、コンソーシアムを結成した。
JVを設立し、有利な価格でエタンが得られれば、エチレンとPEPPのコンプレックスを建設することとした。

IDESSAは当初のPhoenix project のPemex パートナーの1社(他はカナダの Nova ChemicalsとメキシコのIdelpro

Mexichemはエチレン自製により、PVCチェーンのコストダウンを狙った。
IDESA PEに関心を持つ。
AlpekAlfaグループの石油化学部門)PPに関心を持つ。

Alpek LyondellBasell PPJV Indelpro に参加している。ほかにEPSPTAPETを生産している。

しかし3社のどれもエチレンの生産をしておらず、ポリオレフィンでもAlpek PPJV Indelpro に参加しているだけである。

Braskemの参加はコンプレックスの技術面、運営面で大きな意味を持つが、反面、Braskemが中心となり、3社のJVにおける位置付けが弱まる。
また、
BraskemPEに関心があり、PP計画は消えた。

今回 IDESAのみがパートナーとなったのは、この理由で他の2社が撤退したためと思われる。

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Grupo IDESAPetrochemicalConstruction SystemsDistribution 3事業を行っている。

Petrochemical1956年にメキシコ市近辺での無水フタル酸の生産で始まった。

現在の扱い製品は以下の通り。
  エチレングリコール、プロピレングリコール、エタノールアミン、ポリスチレン(
EPSGPPSHIPS
  可塑剤
DOP、無水フタル酸、無水マレイン酸


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