三菱ケミカルHDが三菱レイヨンを買収

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三菱ケミカルHDと三菱レイヨンは11月19日、三菱ケミカルHDに三菱レイヨンを統合することに合意し、基本合意書を締結したと発表した。

三菱ケミカルHDが三菱レイヨンの発行済株式のすべてを取得し、三菱レイヨンを完全子会社とする。

三菱ケミカルHDは、国内外の関係法令に基づく必要な手続き及び対応が完了することを条件に、2010年2月上旬に、三菱レイヨンの発行済株式のすべてを対象とする株式公開買付けを開始し、3月末までに決済を完了する予定。
買付価格は、三菱レイヨンの普通株式1株当り380円を予定。(11月18日終値 271
円)
(買収総額は最大で2174億円となる)

公開買付けは三菱レイヨンの議決権の過半数を保有することとなる株式数を下限として設定。
(応募株式が当該数に達しない場合には、応募株式の全部の買付けを行わない予定)

三菱レイヨンの発行済株式のすべてを取得できなかった場合、取得できなかった株式については、三菱レイヨンとの間で三菱ケミカルHDの株式を対価とする株式交換を行い、三菱レイヨンを完全子会社とする。

三菱レイヨンの上場は廃止。

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8月10日の日本経済新聞はトップ記事で三菱ケミカルホールディングスが三菱レイヨンを買収する方針を固め、TOBにより完全子会社化する方向で調整していると伝えた。

三菱ケミカルホールディングスの小林善光社長は8月21日の記者懇談会で、三菱レイヨン買収で同社と協議を進めていることを正式に認めた。

両社の歴史、三菱レイヨンの概要は以下を参照。

2009/8/10 三菱ケミカルホールディングスが三菱レイヨンを買収?

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両社は本経営統合の目的を、両社の経営資源を一体化し、企業規模の拡大と強固な事業基盤の確立を図るとともに事業競争力と開発力を強化し、今後一層の激化が予想されるグローバルな競争に勝ち抜く企業グループとなることとしている。

新体制
三菱ケミカルHD 三菱化学 化学品                         
三菱レイヨン MMAを基軸とした化成品・樹脂事業
アクリル繊維・アクリロニトリル及び誘導品事業
炭素繊維・複合材料事業
アセテート・機能膜事業
三菱樹脂 機能商品
田辺三菱製薬 ヘルスケア


経営統合で期待される効果は以下の通り。

 三菱ケミカルHD:
  企業規模の拡大に加えて、 
  三菱レイヨンのMMA事業という新たな中核事業の獲得
  今後急速な需要拡大が期待される
炭素繊維・複合材料事業及び水処理事業などの成長事業の獲

  高付加価値事業へのシフト加速
  スペシャリティーケミカル事業分野におけるシナジー
  物流、購買調達、事業拠点及び類似事業を行う関係会社群の統合等によるコストシナジー

 三菱レイヨン:
  MMA系事業、炭素繊維・複合材料事業及び水処理事業の育成と拡大などについて、
  三菱ケミカルHDの強固な事業基盤や優良な経営資源をフル活用することが可能
  (
Lucite買収資金は16億米ドルで、同社にとっては重荷である)

  グループ内のシナジー効果によって「世界市場でトップの事業群を構築する」という基本目標の実現を加速
  人材面を含めた様々な経営資源の拡充・強化

三菱ケミカルHDの小林社長は、「三菱レイヨンの参画により、三菱ケミカルグループの連結売上高は3兆5000億円、世界の化学会社の中ではデュポンを抜き、SABICに次いで第6位となる。レイヨンのMMA事業や炭素繊維・複合材、水処理事業、スペシャリティケミカル事業など、次世代コア事業を一体的に運営することによりコストで30億円、事業面で70億円、計100億円のシナジーが実現できる」と強調した。

世界の化学メーカーの売上高(三菱ケミ資料)

1 BASF  7.8兆円
2 Dow Chemical  6.0
3 LyondellBasell  4.9
4 Bayer  4.1
5 SABIC  3.9
6 三菱ケミカル+三菱レイヨン  3.5
7 DuPont  2.7
8 Evonik Industries(Degussa)  2.0
9 Akzo Nobel  1.9
10 住友化学  1.7
11 Air Liquid  1.6

付記

発表後の19日の三菱レイヨンの終値は80円アップの351円に、三菱ケミカルHDは16円安の294円(一時287円)になった。

 


* 総合目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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