2009年11月13日の取締役会で増資の決議を行ったと発表した。株数で29%増、総額643億円もの多額の増資となる。
同社が公募増資を実施するのは、1997年10月に三井石油化学と三井東圧化学が合併し、三井化学が発足して以来、初めて。
同社は11月2日に経営概況説明を行い、主要戦略見直しを説明した。
http://jp.mitsuichem.com/ir/pdf/event_rev3_091102.pdf
主要戦略見直しで、「新たな成長戦略」と「事業基盤の強化」を打ち出したが、そのための設備投資、投融資の資金とする。
1.新たな成長戦略
他社との提携やM&Aにより、事業拡大と新事業創出のスピードアップを図りながら、
次の3つの基本戦略を推進する。
① 競争優位事業のグローバルな拡大
② 持続可能な発展のための高付加価値事業の拡大
③ 地球環境との調和を担う新製品・新事業の創出
2.事業基盤の強化
上記の3つの基本戦略を進めるために、次の方策により事業基盤の強化にも取り組む。
① 筋肉質な体質への転換 (更なるコストダウンの推進)
② 国内設備の統廃合推進 (最新鋭の大型設備への統合による競争力の強化)
③ マーケティング力強化
(営業部門やアジア各拠点への新たなマーケット要員配置による市場開発加速)
今回の公募増資及び第三者割当増資により、発行済株式総数は以下の通りとなる。
現在の発行済株式総数 792,020,076株 公募増資による増加株式数 206,000,000株 第三者割当増資による増加株式数 24,000,000株 増資後の発行済株式総数 998,020,076株 増資による手取概算額合計 上限 64,292百万円
発行価格は11月24日から27日までの間のいずれかの日に決める。
(上記の手取り概算は279.5円)
手取額概算643億円のうち、60億円は、フェノールプラントを建設する上海中石化三井化工と、中国華南地区に設立する佛山三井化学ポリウレタンへの投融資資金とする。
2009/11/4 三井化学、シノペックとの合弁事業の基本合意
残りは同社の一般の投資資金に充てる。
セグメント | 設備の内容 | 投資予定額 | うち 既支払額 |
機能材料 | α-オレフィンコポリマー製造設備増強 液状ポリオレフィンオリゴマー製造設備増強 超高分子量ポリエチレン製造設備増強 ウレタンフォーム原料製造設備増強 太陽電池封止シート製造設備増強 その他設備の合理化・維持更新等 |
480億円 | 93億円 |
先端化学品 | リチウムイオン電池用電解液製造設備増強 その他設備の合理化・維持更新等 |
80億円 | 13億円 |
基礎化学品 | 1-ヘキセン製造設備新設 メタロセン直鎖状低密度ポリエチレン製造設備増強 ポリプロピレンコンパウンド製造設備増強 その他設備の合理化・維持更新等 |
410億円 | 80億円 |
その他 | 各種設備の合理化・維持更新等 | 380億円 | 73億円 |
計 | 1,350億円 | 259億円 |
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増資のタイミングとしては最悪の時期ではないであろうか。
同社は2009年3月期に952億円の赤字を計上、2010年3月期も390億円の赤字を予想している。
中間配当も無配とした。
単位:百万円(配当:円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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同社の株価は(住友化学や三菱ケミカルHDも同様だが)、現在非常に低い水準にある。(発表前日の終値は288円)
付記
13日の発表後の翌取引日の11月16日の終値は243円と13.2%の大幅値下げとなった。
(10年来最安値は3月3日の一時201円、終値206円)
時価総額は1,924億円となり、7ヶ月ぶりに2,000億円を下回った。
(同日の株価で住友化学の時価総額は5,941億円、三菱ケミカルHDは4,714億円)
* 総合目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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