欧州委員会、熱安定剤カルテルで制裁金

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欧州委員会は11月11日、塩ビ用熱安定剤のカルテルでAkzo、Ciba等に合計192,126千ユーロの制裁金を科した。
(委員会発表では
173,864千ユーロとなっているが、各社の金額を合計すると上の通りとなる)

各社は、スズ安定剤については1987年から2000年の間に、エポキシ化大豆ESBO/esters)については1991年から2000年の間に、価格協定、需要家割り当て、市場情報交換などを行った。

調査はChemtura からの情報に基づき、2003年2月に始められた。

2003年2月には、欧州委員会の要請に基づき、米国司法省、カナダ競争局、日本の公正取引委員会が塩ビ樹脂用モディファイヤーのMBSの販売を巡る国際カルテルに関する同時調査に着手している。

Chemtura はこの調査の過程で本件カルテルについて通報したのではないかと思われる。

本年3月に各社に対して異議告知書を送付し、法的措置を開始した。

「異議告知書」とは、欧州独占禁止法違反の疑いに関する欧州委員会の暫定的な見解(未確定)を示し、当事者の意見を求めるもの。「異議告知書」は調査途中の文書であり、欧州委員会の最終決定ではない。

制裁金は以下の通り。

  tin stabiliser ESBO/ester 合計
Fine (Euro)
  加減率 Fine (Euro)  加減率 Fine (Euro)
Akzo (オランダ)    21 800 000    18 800 000  40 600 000
Elementis (英/)    16 834 000    15 741 000  32 575 000
Arkema France (フランス) +90% -30%  10 046 400 +90% -50%  18 600 400  28 646 800
Baerlocher (ドイツ)  -20%  1 000 000      1 000 000
Chemson (オーストリア)        3 801 600  3 801 600
Chemtura()  -100%  0 -100%  0  0
Ciba (スイス) -15%  61 320 000 -25%  7 104 000  68 424 000
Faci (イタリア)        5 940 000  5 940 000
Reagens(イタリア)    10 791 000      10 791 000
AC Treuhand (スイス)    174 000    174 000  348 000
合計   121 965 400    70 161 000  192 126 400

Chemtura はカルテルの存在を通知したため、制裁金を免除された。
他方、
Arkemaは以前にも同様のカルテルに参加していたため90%増しとなった。

ArkemaBaerlocherCibaは調査への協力で減額された。

AC Treuhand はスイスのコンサルタントで、カルテルのアレンジをしたため、制裁金を科せられた。

マリーンホースカルテルでもコンサルタントが同様の理由で米国で30ヶ月の禁固刑、10万ドルの罰金を科せられている。

<p><p><p>HTML clipboard</p></p></p>Cibaを買収したBASFでは、Cibaが1998年に添加剤事業を売却(Witcoのエポキシ事業と交換)しており関係がないという理由で、本件を欧州第一審裁判所へ提訴するとしている。

Witco 1999年にCrompton & Knowles と合併し、Crompton となった。
2005年にCrompton Great Lakes Chemical が合併し、現在のChemtura となった。

Chemtura は制裁金を免除されが、カルテル当時はWitcoである。

AkzoNobel も2001年に添加剤事業部 Akcros Chemicals PVC を英国の投資会社 GIL Investmentsに売却している。

 


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