Rio Tinto は10月6日、モンゴル政府との間でモンゴル南部のOyu Tolgoi 銅・金鉱山開発のための投資契約を締結した。
同鉱山は中央アジアや豪州で鉱山の開発を行っているカナダのIvanhoe Minesが権益を持っている。
Rioは2006年にIvanhoeに9.9%を出資したが、モンゴル政府との投資契約締結後に19.7%とし、更に固定株価で43.1%まで、またその後は時価で最終46.65%まで増やす権利を持っている。(10月28日に19.7%とした)
モンゴル政府は開発を担当するIvanhoe Mines Mongoliaに34%出資する。
2013年には生産を始め、5年後にフル稼働で年45万トンの銅、33万オンスの金を産出する予定。
Rioはこの計画をすすめるため、中国アルミ(Chinalco) と交渉を行っていると伝えられた。
Rio Tinto は2009年年2月に、Chinalcoから現金で195億ドルの出資を受けると発表したが、6月5日にこれを取り止めた。
これがあってか、中国の検察当局はRio Tinto社員を産業スパイと贈賄の容疑で逮捕している。2009/6/6 中国アルミのRio Tinto への出資 取り止め
2009/8/18 Rio Tinto 事件と中国での贈賄事件
Oyu Tolgoi 鉱山は中国国境から200kmのところにある。
鉱山機械の輸送、電線・水道の敷設、鉄道の接続、製品の販売などで中国の協力が必須である。
このため、まだRioの最大株主であるChinalcoが最適の協力者となる。
しかし、中国ではRioは「信頼できない相手」とみなされている上、モンゴルと中国との関係も微妙である。
RioとChinalcoの本計画での提携が両国の承認を得られるかどうかは疑問となっている。
Oyu Tolgoi の北にあるTalvan Tolgoi 鉱山のコークス用石炭開発については中国の神華エナジーが有力候補2社のうちの1社となっている。
神華エナジーはモンゴル国境まで鉄道をつなぎ、Oyu Tolgoi と Talvan Tolgoi の石炭と銅を中国に運ぶ計画のコンソーシアムの中心となっている。
他方、Ivanhoeは中国と良好な関係を維持している。
Ivanhoeの子会社SouthGobi Energy Resourcesは10月28日、モンゴル南部のOvoot Tolgoi 炭鉱の拡大(150万トン→800万トン/年)の資金として中国政府ファンドのCICが5億米ドルを融資することで合意したと発表した。CICは見返りに取締役1名を派遣する。
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Ivanhoe Mines はモンゴルのOyu Tolgoi 銅・金鉱山、Ovoot Tolgoi 炭鉱のほかに、豪州Queensland のCloncurry 酸化鉄・銅・金プロジェクト、カザフスタンのBakyrchik Gold Project などを手掛けている。
同社は昨年、中国のJinshan Gold Minesの権益(全体の42%)を中国黄金集団(CNGC)に譲渡することで合意したと発表した。
Jinshan Gold Minesは、内モンゴル自治区において2007年から金鉱山の操業を開始しており、現在120千oz(3.7t)/年に向け増産体制を整えている。
中国黄金集団は1979年に設立された政府系企業で、Ivanhoe Minesは同社との間で長期的な戦略パートナーシップを目指している。今後、共同で中国での金、銅の探鉱、鉱山開発に集中していく。
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