出光興産、風力発電に進出

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出光興産は12月25日、日本風力開発(JWD)と提携し、JWD子会社の二又風力開発の増資を引き受け、共同で事業を推進することを決定したと発表した。

JWDと出光は、2009年3月30日に「共同事業に関する協定書」を締結して以来、CO2フリーのエネルギー供給を拡大することを目的として、蓄電池を併設した風力発電所の共同事業について協議を進めている。

今回、二又風力開発に出資し、その発電する電力と環境価値を初年度は40%、2年目以降は全量を引き取り、これを三菱地所が所有する新丸ビルに販売する。

二又風力開発は青森県上北郡六ヶ所村にあり、JWD 59.96%、出光 40%、六ヶ所村 0.04%の出資となる。
2008年5月の運転開始で、1,500kW
の風力発電機を34基、合計51,000kWの能力を持ち、世界で初めて蓄電能力34,000kWの大型蓄電池を併設している。
蓄電池は1ユニット2000kWのNAS(ナトリウム硫黄)電池17基から成る。

自然エネルギーは出力が不安定で取り扱いが難しいため、電力会社への送電量が制限されてきたが、蓄電池併設で、需要に応じて出力させることが可能となり、送電線への負担を大幅に減少させることができる。

需給調整ができる風力発電所が増えれば、電力会社への送電量も増やすことができ、CO2フリーのエネルギー供給の拡大に繋がるため、JWDと出光は、今後も蓄電池を併設した新たな風力発電所の開発および発電した電気・環境価値の販売に協力して取り組む。
また、電力の需給調整機能を果たす蓄電池の特徴を活かし、スマートグリッドなどでの活用方法を共同で検討する。

石油会社各社は、国内での石油製品需要の漸減、海外市場での新規輸出型製油所の出現による国際競争の激化と、低炭素社会への動きという事業環境の変化を考慮し、新エネルギー分野への進出を図っている。

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日本風力開発は1999年の設立で東証マザーズに上場している。
2001年2月に先ずドイツのザルツベルゲン市で売電事業を開始、同年9月に銚子で売電事業を開始した。

2009年9月末の風力発電所の設備容量は、ドイツのザルツベルゲン市の7,000kWを加え、272,450kWとなり、本年9月中間決算での風力発電による売電収入は1,937百万円となっている。

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世界風力会議(Global Wind Energy Council)の2009年2月の発表によると、世界の風力発電総設備容量は、前年の94,123MWから120,798MWに達した。毎年、20~30%超の伸び率を示し、順調に増加している。

日本は13位 1,880MWで、世界全体のわずか約1.6%である。

NEDO資料 http://www.nedo.go.jp/library/fuuryoku/index.html

 

日本の主な風力発電業者は以下の通り。

ユーラスエナジーホールディングス(Eurus Eergy

2001年11月設立で、東京電力が60%、豊田通商が40%を出資する。

操業中の設備容量:
  日本     438,060kW (+建設中 84,050kW)
  韓国     138,994
  アメリカ   523,960
  ヨーロッパ  726,240(スペイン 507,740、イタリア 169,200、イギリス 38,100)
  合計    1,827,254

・電源開発(Jパワー)

国内13地点で合計出力264,380kW
海外はポーランドにザヤツコボ風力発電所(48,000kW)

・日本風力開発  日本 265,450kW、ドイツ7,000kW。

・エコ・パワー(EcoPower)

荏原製作所子会社
20地域で119基が稼動中で、総発電容量は130,510kW

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出光興産と三菱地所は12月9日、出光の「生グリーン電力」を三菱地所の新丸ビルで受電することで合意した。

再生可能エネルギー100%の「生グリーン電力」を直接需要地が受電する取り組みは日本で初めてとなる。

グリーン電力とは、風力、太陽光、バイオマスなどの再生可能エネルギーにより発電された電力のことで、「電気そのものの価値」の他に「環境付加価値」を持つ電力と考えられる。
「生グリーン電力」は発電所から需用者に直接送られたグリーン電力のこと。
(通常の電力に「環境付加価値=グリーン電力証書」と組み合わせた「みなしグリーン」ではない。)

出光は、二又風力開発の生グリーン電力を2010年4月から託送(他の電力会社が保有・運用する送配電網を使用)により、直接新丸ビルに供給する。

三菱地所は、新丸ビルで使用する電力すべてを「生グリーン電力」で賄い、新丸ビルのCO2排出量が年間約2万t削減される。

三菱地所と出光興産は、東京都、千代田区、青森県が進める「再生可能エネルギー地域間連携」の仕組みに参加することを今後検討する。

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東京都は12月4日、青森県及び千代田区と、再生可能エネルギー地域間連携に関する協定を締結した。

都市の旺盛なエネルギー需要に対し、自然エネルギーの豊かな地域が創り出す再生可能エネルギーを活用することで、都市のCO2削減と地域の経済活性化及び雇用拡大とを同時に達成することを目指すもの。

同協定を踏まえ、都は、その民間パートナーを募集している。

参考  2009/11/7 中国企業、米国で風力発電事業


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