SABICの戦略 ー 買収、JV、スペシャルティ化

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化学関係の通信社ICISは、SABICMohamed Al-Mady CEOとのインタビュー記事を掲載した。
インタビューは
1210日に Gulf Petrochemicals and Chemicals Association の第4回フォーラムの場で行われた。

CEOは、SABICは技術と市場にアクセスするため、最終的には買収を狙うとした。
但し、今のところ具体的な計画はない。

CEOの発言は以下の通り。

常にCompetitive でないといけないが、そのためには原料(material inputs)、市場(market access)、技術(innovation)が必要である。

「原料」については、天然ガスの不足の懸念はあるが、事態は改善すると楽観している。
しかし、「市場」は、買収によってのみ可能である。
「技術」も同様で、自社でやると時間がかかり過ぎる。
買収を通じて、人材も確保できる。

我々の戦略に合致し、価格が適正であれば、買収を狙う。
(但し、今のところは、サウジと海外で行っているプロジェクトで手一杯である。)

この考え方は、これまで行ったDSMHuntsmanの事業の買収(現 SABIC Europe)、GE Plastics の買収(現 SABIC Innovative Plastics )の理由である。

GE Plastics 買収でSABICは エンプラを主とするSpeciality chemicals部門に参入した。これを強化したい。

サウジが進めるSpeciality chemicalsへの多角化をよく表すのがSaudi Kayan projectである。
大部分が
2010年末から2011年にスタートする。
この製品の多くはサウジで初めてのものだ。

Joint ventures も技術と市場にアクセスするためのもう一つのルートである。
日本企業との合弁の
SHARQExxonMobilとのJVYanpet などが良い例である。

SABICはまた、SINOPECとの天津石化JVで中国市場に進出した。
石化コンプレックスは
12月末に稼動する。

最近発表した米国の Albemarle 触媒トリエチルアルミの製造JVも別の多角化の例である。
触媒は天津であれ、どこであれ、使用できる。

    市場 技術 Specialty化
買収 SABIC Europe
DSM事業、Huntsman事業)

(欧州)
 
SABIC Innovative Plastics
GE Plastics

(全世界)
JV SHARQYanpet、その他    
Saudi Kayan project    
(多角化)
天津JV
(中国)
   
触媒JV  

中国は需要の伸びが高く、SABICにとって完全な投資先である。

但し、インドは問題である。インドの政策は透明でなく、我々は投資を求められていない。
需要の伸びが高く、国内企業だけではやっていけないが、保護主義を採っている。

インドは最近、サウジ、オマーン、シンガポールからのPPにダンピング課税を行った。
中国もブタンジオールと
メタノールについてダンピング調査しているが、これについては話し合いが続いている。


* 総合目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

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