2009暦年の実績が発表された。エチレン生産量は前年を若干上回る6,913千トンとなった。
年の初めは操業度が75%程度であったが、5月には90%を超え、6月以降は95%程度の操業度を維持している。
エチレン生産 | ||
合成樹脂の販売は、国内については全製品で前年を下回った。
国内販売が高水準であった2004年と比べると、LDPEでは17%ダウン、HDPEで19%ダウン、PPで15%ダウン、PSで25%ダウン、ABSで34%ダウン、PVCで35%ダウンと、各製品とも大きく減少している。
これに対して、輸出は、PSとABSを除き、前年を大きく上回っており、これがエチレンの高操業度の理由となっている。
問題は2008年秋までとは異なり、輸出市場の競争の激化で輸出価格が低いことと円高のため、輸出採算がよくないことである。
但し、内輸合計で見ると、LDPEとHDPEを除き、2007年から08年、09年と、出荷は大きく減少している。
特に、ABSとPVCの減少が大きい。ABSは内輸ともに大きく減少した。
PVCの場合、2009年の国内出荷960千トンは、1977年の974千トン以来の低水準である。内輸合計で見ても、輸出がほとんどなかった1987年以来の低水準である。
LDPE | ||||||||||||||||||||||||||||||
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HDPE | ||||||||||||||||||||||||||||||
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PP | ||||||||||||||||||||||||||||||
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PS | ||||||||||||||||||||||||||||||
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ABS | ||||||||||||||||||||||||||||||
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PVC | ||||||||||||||||||||||||||||||
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なお、原料のスチレンモノマーとVCMの出荷実績とその内訳は以下の通り。
SM | ||||||||||||||||||||||||||||||
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国内向けは2年前の70%と大きく減少したが、輸出が堅調で、合計では前年出荷を上回った。 出荷合計のうち、国内向けは46%に止まる。 | ||||||||||||||||||||||||||||||
VCM | ||||||||||||||||||||||||||||||
国内
PVC用国内
その他用輸出
PVC用輸出 合計 能力 2004 1,479 42 664 602 2,788 3,043 05 1,427 52 714 652 2,844 3,484 06 1,373 42 744 888 3,048 3,541 07 1,314 49 839 767 2,968 3,541 08 1,216 39 551 754 2,560 3,541 09 942 37 705 1,027 2,711 3,541
* 国内PVC向け出荷のうち、実際のPVC輸出数量を輸出PVC用として先取りした。
VCMの出荷は2,711千トンと、昨年を上回った。これはPVCの輸出及びVCMの輸出が伸びたため。
PVC国内出荷が激減したため、2004年には国内PVC用はVCM能力の約半分を占めたが、2009年は27%に過ぎない。
今後PVCの輸出が減少すれば、能力の大幅削減が必要となる。
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