フランス炭素税、憲法評議会が「無効」

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フランスで法律の違憲性を判断する憲法評議会は2009年12月29日、仏政府が1月から導入を予定していた炭素税The taxe carbone)を無効とする裁定を発表した。政府の新年度予算や税制改革は根本から練り直しを迫られる。

フランス政府は二酸化炭素(CO2)排出量の抑制や省エネ技術開発促進のため、CO2 1トンあたり17ユーロ(24.35米ドル)の炭素税導入を中心とする税制改革法案を成立させた。

Sarkozy大統領は、税金を欧州炭素市場のCO2平均価格に合わせたとしている。

消費者に石油、ガス、石炭の使用減を促すのが目的で、暖房や自動車燃料の値上げとなる。
ガソリンでリッター 4セント、ディーゼル油で4.5セントが課せられる。

但し、負担増を相殺するため、
都市部の成年1人当たり46ユーロ(農村部は 62ユーロ)、扶養家族は1人10セントの税額控除を行う。

農村部で160m2の家に住み、自動車を使う、子ども2人の夫婦の例では試算で年に143ユーロを払うが、144ユーロの払い戻しを受ける。
都市部で60m2のアパートに住み、バスで通勤する単身者の例では31ユーロの支払いとなるが、46ユーロの払い戻しを受ける。
汚染が少ないほど、有利となる。

問題は、これが重工業や発電所などに適用されないことである。電力業界は原子力発電所が主流のため、対象外となった。

憲法評議会はこれを問題視した。
製油所など環境汚染が甚だしい1000以上の事業所や火力発電所が課税を免れ、免税対象は企業排出CO2の93%に及ぶと試算し、「温暖化対策の目標に逆行し、税の平等原則に違反する」と批判、法律を無効とした。

Francois Fillon首相は12月29日、新たな炭素税法案を1月20日の閣議に提出する方針を示した。

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アイルランド政府は2009年12月10日、40億ユーロの歳出削減を柱とする2010年度の財政方針を発表した。

削減策の柱は公務員の給与引き下げで、ほかに増税策として家庭や企業で使う石炭や石油など燃料を対象とする炭素税を導入した。排出される二酸化炭素(CO2)1トン当たり15ユーロを課税する。


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