東ソーは中国で塩ビの新工場を建設する。
日本経済新聞によると、広州市の「東曹(広州)化工」の隣接地を取得し、100億円を投じて2010年中に新工場の建設に着手する。現在の年産能力は22万トンだが、新工場は約40万トンとする計画で2012年の稼働を目指す。
ブルームバーグの報道では、東ソーは中国政府から30万トン増強するよう要請されており、東ソーとしては「いつごろ、どの程度増強するかについては中国政府と協議中」とのこと。
ただ、中国市場の需要は拡大しており、東曹(広州)化工はフル稼働の状態のため、2010年度中には増強の方向性を明確にするという。
東曹(広州)化工は2004年12月の設立で、東ソーが67%を出資、ほかに三菱商事、三井物産、丸紅が出資する。
立地は広州市南沙経済開発区。
当初は年産11万トンの計画であったが、中国政府が20万トン未満の新設を認めない方針を打ち出したため、能力を倍増した。
ーーー
2009年上期時点の中国のPVCメーカーのトップ10は以下の通り。
天津大沽化工 | 800千トン |
新疆天業(Xinjiang Tianye) | 720 |
シノペック齊魯 | 600 |
宜賓天原(Yibin Tianyuan) | 500 |
上海クロルアルカリ | 480 |
新疆中泰 | 480 |
山西楡社(Shanxi Yushe) | 420 |
Formosa 寧波 | 400 |
内モンゴルElion (Yili) Chemical | 400 |
ChemChina昊華宇航化工 | 400 |
* 天津大沽化工は天津LG大沽化工(340千トン)のパートナー
* 新疆中泰化工はウルムチの中泰産業パークでPVC 360千トンを建設中で2010年にスタートする。
これに加え、下記の計画を持つ。
中国では相変わらず、多くの大規模計画が打ち出されている。
新疆中泰化工は2009年8月19日、新疆ウイグル自治区の阜康の中泰阜康産業パークで大規模計画の第一期の着工の式典を行った。
イオン交換膜法ソーダ年産120万トン、PVC 160万トン、カーバイドスラッグセメント320万トンを建設する。最終的には2015年に完成の予定。
今回はその第一期計画で、苛性ソーダ300千トン、PVC400千トンを建設、2011年第4四半期にスタートさせる。ーーー
ダウと神華集団は2009年11月3日、陜西省楡林市で大規模石炭化学JVの起工式を行った。
石炭と岩塩を原料とし、石炭化学・クロルアルカリ技術を使った23のプラントが建設される。
塩ビはメタノールからつくるエチレンを原料とする。
メタノール 332万トン Coal to Methanol オレフィン 122万トン Methanol to Olefins クロルアルカリ 50万トン EDC 51万トン PVC 50万トン
ーーー
安徽省淮北礦業(集団)の子会社Anhui Hwasuは、安徽省Luquiao に新しく発電所、電解、カーバイド法VCM、PVC(年産100万トン)を建設するが、このたび、PVCに関してArkemaの技術を導入した。
Arkemaと提携している Aker Solutionsが基礎設計を担当する。
計画は2期に分かれ、第一期50万トンは2011年稼動の予定。
ーーー
中国のPVCの輸入は2008年秋に急落した後、年末から急上昇したが、2009年夏に再度急落した。
また、日本品は(韓国、米国、ロシア、台湾とともに)ダンピング課税対象となっており、2009年9月に更に5年延長となった。
日本からの輸出は課税対象外のペーストと、汎用品については保税加工貿易用に限られており、将来に期待できない。
また、VCMの輸入も同じパターンを示している。
中国の新設PVCのほとんどはカーバイド法であり、輸入VCMによるものは少ない。
東ソーにとってはPVCは別として、ビニルチェーンのエチレン、電解、VCMの維持のためには、PVCを現地生産し、その原料のVCMを輸出するのが一つの手であろう。
目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
コメントする