INEOS、フッ素化学品事業をメキシコのMexichem に売却

| コメント(0)

INEOSグループは22日、フッ素化学品のINEOS FluorをメキシコのMexichemの子会社Mexichem Fluor に売却することで合意したと発表した。

INEOS Fluorは元はICIの事業(Klea部門)で、INEOSによる買収に伴い20011月に設立された。
(なお、
ICIのフッ素樹脂事業は旭硝子が買収している)

同社は幅広いフッ素化学品を供給している。

KLEAブランドのHFC (hydrofluororcarbons) CFCchlorofluorocarbon:フロン類)の代替品として開発された。
ZEPHEXブランドの高純度HFA (hydrofluoroalkanes) は医薬用噴射剤として開発された。
このほか、フッ素樹脂原料および
HCFC系フルオロカーボンを扱う。

INEOS Fluorは欧州、北米、アジアに製造基地を持ち、従業員は350人。

欧州では英国のRuncorn にプラントを持つ。
ここは世界最初の
HFC 134の商業生産プラント。
2001年にHFC134a HFC125 に、更に2006HFC125 に切り替えた。

米国のルイジアナ州 St Gabriel 工場は最大のHFC 134a 製造基地で、199212月に生産を開始した。

日本の三原工場(イネオスケミカル)は帝人が受託製造しており、
KLEA134aを成長率の高いアジア太平洋市場で販売している。

帝人とICIは1992年に代替フロン「クリー134a」の製造のためICI帝人フロロケミカルを設立し、帝人三原工場内にプラントを建設した。

ICIの本事業売却に伴い、帝人とICIはこのJVの全株式をINEOSに譲渡した。

INEOSは本事業について、利益は挙げているが、大規模石油化学に注力する同グループの主要部分ではないとしている。

同社は現在、再建中で、Grangemouth 製油所売却の交渉を続けている。

2009/7/20 Ineos、75億ユーロの借入契約条件変更に成功 

ーーー

Mexichem 1998年にQuímica Pennwalt Polímeros de Méxicoが合併して設立された。
フランスの
Elf Atochem とメキシコのGrupo Empresarial Privado Mexicanoが共同で所有したが、後者は1999年にCamesa Groupと合併し、2003年にTotalElf Atochem)の持株を買収し、メインの株主となった。

現在の同社の事業はビニルチェーンとフッ素チェーンの2つに分かれている。

1)ビニルチェーン 現在ラテンアメリカ最大の塩ビ樹脂、コンパウンド、塩ビパイプメーカー。

同社は2004年にメキシコ最大の塩ビレジン、コンパウンドメーカーのPrimexを買収した。
2006年に米国の塩ビコンパウンドメーカーBayshore Groupを買収。
2007年にはコロンビアの塩ビメーカーPETCOを買収、また、コロンビア最大の塩ビコンパウンドメーカーGeon Polímeros Andinosの株の50%を買収した。

現在の体制(子会社)は以下の通り。

 ・Unión Minera del Sur
   地下のソルトドームからの塩水から塩を生産

 ・
Mexichem Derivados
      Coatzacoalcos Plant:塩素ガス、ソーダ、次亜塩素酸ソーダ
   
Santa Clara Plant:ソーダ、次亜塩素酸ソーダ、塩酸
   
El Salto Plant:ソーダ、次亜塩素酸ソーダ、塩酸

 ・Mexichem Resinas Vinílicas
      PVC(サス 650千トン、エマルジョン 75千トン、特殊品 30千トン)

 ・Petroquímica Colombiana
      PVC 400千トン

 ・Mexichem Colombia
   塩素系製品

 ・Mexichem Compuestos
   
Altamira plant: コンパウンド 60千トン
   
Tlaxcala Plant:コンパウンド 12千トン

 ・Bayshore (New Jersey, U.S.A.)
      PVCコンパウンド 20千トン

 ・Geon Andina Colombia
   
PVCPE、その他のコンパウンド 50千トン

 ・Amanco
   水道、電気、ガス用塩ビパイプ・継手、その他

2)フッ素チェーン

Mexichem2004年にQuímica Flúor を買収し、世界最大の蛍石埋蔵量を誇るCompania Minera Las Cuevasと統合してMexichem Fluorとし、フッ化水素酸の世界最大の垂直統合メーカーとなった。

 ・Mexichem Fluor - San Luis Potosí:
    世界最大の蛍石メーカー
    能力は
metallurgic gravel 350千トン、acid-grade concentrates280千トン
    北米、南米、欧州、日本に輸出

 ・Mexichem Flúor - Matamoros
    世界第二位のフッ化水素酸メーカー
    能力 
95千トン
    
98%を米国に輸出  


目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


 

コメントする

月別 アーカイブ