シェルとブラジル最大砂糖・エタノール生産会社のCosan S.A.は2月1日、ブラジルでエタノール、砂糖の生産と輸送燃料の供給、小売のための約120億ドルのJVを設立する覚書に調印したと発表した。
今後、実現に向け、交渉を続ける。
両社はJVに下記を拠出する。
Cosan | Shell |
サトウキビ圧搾設備 エタノール生産設備(現在20億リットル) Co-generation(既存7基、建設中2基、建設予定3基) ブラジルのガソリン流通施設 Ethanol 物流施設 エタノール商社の株式 借入金25億ドル (潤滑油事業は含まず) |
ブラジルのガソリン流通施設(航空燃料を含む) Iogen Energy(セルロース系エタノール専門のバイオ企業)の50%持分 Codexis (バイオ触媒技術の開発会社)の14.7%の持分 現金 16.25億ドル(2年間で拠出) (潤滑油事業は含まず) |
JV はバイオエタノール年産能力20億リットルからスタートし、170億リットルを目指す。
更に、Iogen EnergyとCodexis の持分を含めることにより、次世代のバイオ燃料技術を確保する。
これにより、JVはブラジルの燃料小売市場で主導的地位を占め、将来の発展を期す。
Cosan S.A.は1936年設立で、ブラジルに23の製造設備を有している。
同社は砂糖とエタノールのブラジル最大のメーカーで、また、サトウキビの絞りかすを元にした発電でも世界最大である。
最近は農業用地取得と燃料の流通に乗り出し、再生可能エネルギーでの最初のフルの垂直統合メーカーとなった。
2008年には826百万ドルを投じて、Esso Brazilを買収、ExxonMobilブランドのSS(約1,500箇所)、ブラジル内主要空港の航空燃料販売拠点を入手、ブラジル第5位の燃料販売会社となった。
Iogen は1970年代に設立されたカナダのアルコールメーカーで、Shell 、Goldman Sachs、Petro-Canada、カナダ政府が出資しており、シェルと技術面で提携している。カナダ政府の諸機関とも提携している。
同社はセルロースを分解する高性能の酵素を使用し、麦わらを原料に1日50トンのエタノールを生産しており、シェルと組んでカナダで世界で最初の商業生産プラント建設を計画している。
Codexis(米国)は2002年に設立されたクリーン・テクノロジーのサプライヤーで、酵素や微生物といった工業用生体触媒の開発を行なっている。
エネルギー産業においては次世代のバイオ燃料の実現に、製薬産業においてはヒト用治療薬の製造工程の費用対効果を向上させることを目的として、同社の技術が利用されている。
CodexisにはShellのほか、Bio*One Capital、Chevron Technology Ventures、CMEA Capital、GE Energy、Pfizerなどが出資している。
同社は2009年4月、Codex(TM)生体触媒パネルの発売により日本の医薬品市場に参入することを発表した。
Codexパネルは生産性の向上とコストの低減とを目的とした製薬企業向けの製品で、同社独自の受注生産型生体触媒は製造工程の短縮、コスト削減、クリーン化を支援し、それによりヒト用治療薬の生産を促進する。
ShellとCodexis は2009年3月、次世代バイオ燃料の商業生産を促進するため、新しい触媒を開発する契約を締結した。
契約の一環として、 Codexis はShell 及びIogen Energyと密接に協力し、Iogenのセルロース系エタノール生産に使われる酵素の効率を高める。
目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
コメントする