国際石油開発帝石(INPEX)は2月11日、世界有数の埋蔵量が見込まれるベネズエラ東部のオリノコ油田Carabobo鉱区開発の国際入札の結果、同社、Chevron、三菱商事および地元企業Suelopetrolからなるコンソーシアムが「プロジェクト3」(Block 2 South, Block 3, Block 5)の開発者に指名されたと発表した。
ベネズエラ国営石油会社(PDVSA)が生産・販売JVの60%を保有し、残り40%をコンソーシアムが保有する。
コンソーシアムの比率はChevron 85%、Suelopetrol 2.5%、残り12.5%を三菱商事とINPEXが分け合う。(JV比率は2社で5%)
生産量は日量40万バレルで、コンソーシアムは政府に5億ドルを支払い、PDVSAに10億ドルを融資する。
直嶋経済産業相は以下の通り述べた。
1月28日行われた入札の結果、国際石油開発帝石及び三菱商事がオリノコ油田Carabobo鉱区の開発者に指名されたことを祝福する。
経済産業省としては、これまでベネズエラ・ボリバル共和国エネルギー石油省との間で、エネルギー協力についての覚書締結やエネルギー協力会合の開催など、ベ ネズエラとのエネルギー協力を推進してきたところである。今般日本企業が油田開発に参画することは、我が国のエネルギー安定供給の確保に貢献するものとして歓迎している。
日本政府としてはこれからも積極的に資源外交を推進していくと共に、本件を契機として、日本とベネズエラとの間のビジネス関係が改善、深化するよう引き続き支援していく所存である。
オリノコ油田はベネズエラのオリノコ川北岸、約5万km2 の広大な地域に帯状に分布する重質油田地帯。
カナダのオイルサンドを凌ぐ非在来型石油資源で、オリノコタールと呼ばれる超重質油を産する。
原始埋蔵量は1.2兆バレルで、そのうち将来的に開発可能なものは2,600~2,700億バレルと言われており、サウジアラビアの在来型の原油埋蔵量にほぼ匹敵する量となる。
オリノコ川流域では1990年代から米ExxonMobilや英BPなど7社が計170億ドル以上を投資し、超重質油から合成石油をつくる技術を確立したが、Hugo Chavez大統領は2007年5月1日、オリノコ油田開発事業の国有化を宣言した。
国有化の条件として、PDVSAの持分は最低60%とすることが提示され、政府は少数株主として残留するよう呼びかけたが、同年6月にExxonMobil とConocoPhillipsは撤退を表明した。Exxon Mobil は補償を求めて訴訟を行った。
2008年2月、PDVSAはCarabobo I block の入札を発表した。
日本政府は2008年7月にベネズエラと連携する方針を固め、石油天然ガス・金属鉱物資源機構〈JOGMEC〉がPDVSAとの提携交渉を進めた。
今回の入札はCarabobo鉱区とJunin鉱区で、結果は以下の通り。
中国、ベトナム、マレーシア、インドも進出した。
ほとんどが2013年には生産を開始する。総投資額は800億ドルで、政府は参加企業からボーナスや融資として60億ドル程度を受け取る。
JUNIN Block 11は日本のコンソーシアム(石油天然ガス・金属鉱物資源機構〈JOGMEC〉、国際石油開発帝石、三菱商事)が相手だが、今回は発表されなかった。
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は今回発表なし |
開発会社 | 生産量 | 政府への ボーナス支払額 |
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PDVSA | その他 | ||||
JUNIN BLOCK 1 | (Belarus 国営石油会社) | 20万バレル | 発表なし | ||
JUNIN BLOCK 2 | 60% | Vietnam's Petrovietnam 40% | 20万バレル | 5~6億ドル | |
JUNIN BLOCK 4 | 60% | China's CNPC 40% | 40万バレル | 不明 | |
JUNIN BLOCK 5 | 60% | Eni 40% | 24万バレル | 6.46億ドル | Refinery含む 総投資額 187億ドル |
JUNIN BLOCK 6 | 60% | Russia's Rosneft, Gazprom, Lukoil, TNK-BP, Surgutneftegaz |
45万バレル | 10億ドル | 投資額 100億ドル以上 |
JUNIN BLOCK 10 | (Norway's Statoil、 France's Total) |
20万バレル | 提案拒否 | ||
JUNIN BLOCK 11 | (日本のJOGMEC、Inpex、 三菱商事) |
20万バレル | 発表なし | ||
CARABOBO PROJECT 1 (Carabobo Block 1 North、 Block 1 Central) |
60% | Spain's Repsol 11% Malaysia's Petronas 11% India's ONGC 11%、 Indian Oil Corp 3.5%、 Oil India Ltd 3.5% |
40万バレル | 10.5億ドル | |
CARABOBO PROJECT 2 | bidなし | ||||
CARABOBO PROJECT 3 (Carabobo Block 2 South, Block 3, Block 5) |
60% | Chevron 34% Venezuela's Suelopetrol 1% Mitsubishi/Inpex 5% |
40万バレル | 5億ドル | 10億ドル融資 |
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国際石油開発帝石は、1992年7月にベネズエラ中央部陸上のEast Guarico鉱区の100%権益を取得し、油田・ガス田の再活性化事業、新規探鉱及び開発事業を行ってきた。
2006年の国有化で、同社はPDVSAとのJVを設立し、事業を継続している。
JV契約は2026年まで。
契約地域 | 権益比率 | 事業 | 生産量 |
Copa Macoya | 同社70% PDVSA 30% | ガス | 日量81百万立方フィート |
Guarico Oriental | 同社30% PDVSA70% | 原油 | 日量1700バレル |
ほかに、MoruyⅡ鉱区でPetrobrasとの50/50JVでガス探鉱を行っている。
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なお、ベネズエラの国営石油会社(PDVSA)は2008年9月に、日本や米国、イタリア、ロシアなど7カ国10社の企業と天然ガス開発や液化、輸送事業(Delta Caribe Oriental LNG Project)で協力する覚書を交わした。
2008/9/24 ベネズエラ石油公社、日米伊露などと天然ガス事業で合意
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http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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