2009年末に中国のエチレン能力は1,354万トンとなり、前年末比で36%増加した。
2008年末の997万トンから357万トン増加した。
業界の統計では、2009年のエチレン生産は1,048万トンで、2008年の1,012万トンから3.6%の増加となった。
中国の2009年のエチレン輸入量は96万トンとなっている。
中国のエチレン能力(年末時点、単位:千トン)
2008 | 2009 | 増減 | |||
① | PetroChina 大慶石化 | 黒竜江省 | 600 | 600 | 0 |
② | PetroChina 吉林石化 | 吉林省 | 850 | 850 | 0 |
③ | 華錦集団(盤錦エチレン) | 遼寧省 | 160 | 620 | 460 |
④ | PetroChina 遼陽石化 | 遼寧省 | 200 | 200 | 0 |
⑤ | PetroChina 撫順石化 | 遼寧省 | 150 | 150 | 0 |
⑥ | Sinopec 北京東方化工 | 北京市 | 150 | 150 | 0 |
⑦ | Sinopec 燕山石化 | 北京市 | 710 | 710 | 0 |
⑧ | Sinopec 天津石化 | 天津市 | 200 | 200 | 0 |
⑨ | Sinopec 斎魯石化 | 山東省 | 840 | 840 | 0 |
⑩ | Sinopec 揚子石化 | 南京市 | 650 | 650 | 0 |
⑪ | Sinopec 上海石化 | 上海市 | 850 | 850 | 0 |
⑫ | Sinopec 広州エチレン | 広東省 | 200 | 200 | 0 |
⑬ | Sinopec 茂名石化 | 広東省 | 1,020 | 1,020 | 0 |
⑭ | Sinopec 中原石化 | 河南省 | 180 | 180 | 0 |
⑮ | PetroChina 蘭州化学 | 甘粛省 | 690 | 690 | 0 |
⑯ | PetroChina 新疆独山子 | 新疆自治区 | 220 | 1,220 | 1,000 |
瀋陽化工 | 遼寧省 | 0 | 120 | 120 | |
⑰ | YPC-BASF | 江蘇省 | 600 | 600 | 0 |
⑱ | SECCO | 上海市 | 900 | 1,090 | 190 |
⑲ | CNOOC-Shell | 広東省 | 800 | 800 | 0 |
⑳ | Fujian Refining & Petrochemical | 福建省 | 0 | 800 | 800 |
(21) | Sinopec SABIC (Tianjin) | 天津市 | 0 | 1,000 | 1,000 |
合計 | 9,970 | 13,540 | 3,570 |
華錦集団(通称 盤錦エチレン)
2009年10月初め、遼寧省盤錦で500万トン/年の製油所と46万トン/年のエチレンの操業を開始した。
増設前の能力は実質18万トンで、増設後は64万トンとなる。
エチレン原料のナフサと残渣油は新設の500万トンのリファイナリーから供給する。
華錦化工集団は遼寧省政府所有企業であったが、2006年に中国北方工業公司(CNGC:China North Industries Group Corporation)に吸収合併された。
今回の増設と増設後の能力は以下の通り(単位:千トン)
増設前 増設 増設後 製油所 -- 5,000 5,000 Ethylene 180 460 640 PE 130 300 430 PP 60 250 310 SM 75 120 195 PS 30 -- 30 ABS 50 -- 50 ブタジエン 25 65 90 BTX 80 250 330 分解ガソリン 80 370 450 MTBE/ブテン-1 -- 80 80 アンモニア 900 -- 900 尿素 1,500 -- 1,500
PetroChina 新疆独山子
2009年9月21日、新彊ウイグル自治区独山子市で大規模石油・石化コンプレックスをスタートさせた。
300億人民元を投じたもので、新製油所は1,000万トン/年、新エチレンクラッカーは100万トン/年の能力を持つ。
既存の600万トンの製油所、220千トンのエチレンと合わせ、製油能力1,600万トン、エチレン能力1,220千トンとなる。
本計画は中国とカザフスタンの戦略的協力の一端で、製油所の原油の大半は2006年7月に稼動した1200Kmのパイプラインを通じてカザフスタンから供給される。
新しいエチレンコンプレックスの設備は以下の通り。
エチレン 100万トン HDPE 30万トン All-density PE 60万トン PP 55万トン BTX 60万トン SM 32万トン PS 13万トン EPS 12万トン ブタジエン 13万トン SBR 10万トン SBS 8万トン
瀋陽化工
藍星集団の子会社、瀋陽化工は遼寧省の瀋陽でエチレンプラントをスタートした。
独自の技術を使用し、50万トンの残渣油を熱分解して12万トンのエチレンを生産する。投資額は445百万ドル。
瀋陽化工は、中国最大のペースト塩ビのメーカーで、エチレンは全量、塩ビ用に使われる。
併産するプロピレンは、同社が三菱化学からライセンスを受けて建設したアクリル酸(8万トン)及びアクリル酸エステル(12万トン)用に使用される。
国家発展改革委員会(NDRC)は 60万トン/年以下のエチレン計画は認めていないが、本件はエチレンとしてではなく残渣油の熱分解とPVC計画として申請し、04年8月に承認を受けた。
上海SECCO(BP 50%、シノペック 30%、シノペック上海石化 20%)
上海ケミカルパークでのエチレン増設計画が2009年7月15日に完成し、オンスペック生産を開始した。
エチレン能力を90万トンから109万トンに増やすとともに、ABB-Lummus法の16万トンのOCUも増設した。
このほか、BTXを50万トンから60万トンに、SMを50万トンから65万トンに増設した。
Fujian Refining & Petrochemical
ExxonMobil 25%、Saudi Aramco 25%、福建石油化学(シノペックと福建省政府が折半出資) 50%
福建省泉州市でシノペックの400万トン/年の製油所を1200万トン/年に拡張するとともに、エチレンコンプレックスを建設した。
石化能力は次の通り。
エチレン 80万トン LLDPE 40万トン HDPE 40万トン PP 40万トン(実質47万トン) BTX 100万トン PX 70万トン なお、Saudi Aramco ポリオレフィンの25%の販売権をSABICに渡している。
別途、石油製品の販売会社 Sinopec SenMei (Fujian) Petroleum Company を設立している。
シノペックが55%、ExxonMobil 25%、Saudi Aramco 22.5%出資
Sinopec SABIC (Tianjin)
シノペックが天津の浜海新区に建設していた大型石油精製、石油化学センターが本年1月15日に生産を開始した。
コンプレックスは1000万トンの製油所と、100万トンのエチレン及び誘導品からなっている。SABICは2009年7月、中国国家発展改革委員会(NDRC)が、建設中のシノペックの天津石化計画へのSABICの参加を承認したと発表した。
製油所はシノペック天津石油化工公司が運営、エチレンコンプレックスはシノペックとSABICの50/50JVのSinopec SABIC (Tianjin) Petrochemical :中沙(天津)石化が運営する。
エチレン 100万トン LLDPE 30万トン HDPE 30万トン PP 45万トン EOG 42万トン フェノール 35万トン ブタジエン 20万トン MTBE 12万トン ブテン-1 5万トン 分解ガソリン 65万トン このほか、Sabic Innovative Plastics の技術でポリカーボネートを生産することについてFSを実施している。
目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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