PetroChina、Shellと共同で豪州炭層メタン生産会社に買収提案

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PetroChina38日、Shellと共同で、オーストラリアの炭層メタン生産会社Arrow Energy に買収提案を出した。提案額は約33億豪ドル(約2700億円)で、株主に1株当たり4.45豪ドルの現金と、買収時に新設するアローの国際部門会社の株式を付与する。

Arrow側は提案を支持しておらず、経営陣は株主向けに「何の行動も起こさないことを推奨する」としている。

同社は豪東部などで、石炭ができる過程で生まれる炭層メタンの権益を保有する資源会社。

炭層メタン(Coal Seam Methane)はCoal Bed MethaneCoal Seam GasCoal Mine Gas等とも呼ばれ、石炭の炭化に伴って生成されたガスで、石炭内に自由及び吸着状態で包蔵されている。

従来の技術では開発が難しいとされていた非在来型天然ガスで、従来の採掘手法とは違う特殊な方法で採取する。

Arrow Energy豪州北東部のQueensland州に豪州最大の炭層メタン採掘地を保有している。

炭層メタンは液化天然ガス(LNG)にし、需要の伸びが見込める中国を始めアジアへの輸出を狙う。

PetroChinaにとって、これは豪州の炭層メタンへの最初の投資となる。
同社にとって先進技術にアクセスできることとなる。この技術の他地域での使用も狙っている。

中国は最近、PetroChina Woodside PetroleumからLNGを購入する交渉が破綻したり、Rio Tinto Chinalcoによる出資を拒否するなど、豪州との取引でうまくいっておらず、これがShell組んだ理由とみられている。

中国では国内のエネルギーミックスでの石炭や石油の比率の引き下げを図っており、天然ガスのニーズは増加している。
PetroChinaは沿岸部にLNG受け入れタンクを建設しており、更に増加を図っている。


Shellは2008年にArrowがクイーンズランド州に持つ炭層メタンガス権益の30%などを取得しており、昨年8月には30億豪ドル規模の買収案をアローに提示したが、交渉は結論が出ないまま終了したと報じられている。

今回PetroChinaと組む理由としては、コスト削減でレイオフをしており、配当も凍結する可能性があることから、単独での大規模な買収は社内でも株主からも不満が出るからではないかとされている。

また中国という大市場への販売でも有利となる。
Rio Tinto 問題の後でもあり、PetroChinaと豪州で組んだということは、Shellの今後の中国での活動でも有利に働くと思われる。

但し、豪州政府は中国を含め、外国の国営企業による豪州の資源企業への買収承認に慎重になっており、この点はShellにとってマイナスに働く。

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世界銀行理事会は2009年5月、炭層メタンの開発と利用促進を支援するため、中国に対し8,000万ドルの融資を承認した。
中国の増大するエネルギー需要に応え、かつ、石炭燃焼に伴う温室効果ガス排出と大気汚染の軽減を目指している。


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