第一三共は2月26日、日本のジェネリック市場へ参入するため、4月1日に第一三共エスファを設立すると発表した。
同社は2008年11月にインドのジェネリック医薬品大手 Ranbaxy Laboratories の63.9%を取得し、「先進国市場+新興国市場」「イノベーティブ+エスタブリッシュト」の双方を視野に入れた「複眼経営」の実現に向けて踏み出した。
2009/1/8 第一三共、ランバクシーの評価損計上
第一三共エスファは、Ranbaxyの事業ノウハウやコスト競争力、更には国内外の製薬会社とのネットワークを活かし、製品パイプラインの拡充と、継続的な製品の安定供給を実現していくとしている。
また、今後のニーズがますます拡大していく抗体医薬等のバイオシミラー(バイオ医薬品の後発品)への取り組みも、グループ全体で検討していく。
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ジェネリック医薬品(新薬の特許切れ後に割安な価格で売り出す後発薬)は厚生労働省が患者負担の軽減や医療費抑制を目的として普及を推進しており、今後、需要が増えることが予想される。
このため、有力企業が相次ぎ参入し、競争が激化している。また、海外のジェネリック医薬品メーカーも多数進出している。
最近の動き:
万有製薬(Merck 100%子会社)
バイオ後発医薬品市場に参入。
腎不全に伴う貧血の治療薬「エリスロポエチン」(協和発酵キリンが販売)の後発薬の臨床試験を開始した。
2012年以降に販売する。なお、万有製薬は本年下期にシェリング・プラウと統合するが、統合後の社名はMSD株式会社とする。
親会社の米Merckは米Schering-Ploughを買収、2009年11月に経営統合を完了している。
2009/3/11 米Merck、米Schering-Plough を買収米国MerckはドイツのMerck KGaAから分離した。 2006/3/23 2つのMerck社
このため、米国Merckは米国、カナダ以外の地域では「MSD」(Merck Sharp & Dohme)の名称を使用、逆にドイツのMerck KGaAは米国とカナダでは「EMD」の社名を使用している。万有製薬も今回の統合を機会に他国に合わせ改称する。
富士フィルム
富士フイルムは、2010年4月営業開始を目指して富士フイルムファーマを設立、医薬品開発・販売に本格参入する。
三菱商事、東邦ホールディングスとの資本・業務提携により早期にビジネスを確立するが、営業開始当初はジェネリック医薬品の販売から開始する。2010/2/22 富士フイルム 医薬品開発・販売に本格参入
ファイザー
製薬世界最大手の米Pfizer は日本で後発医薬品市場に参入する。
2009年12月に日本法人に特許切れ薬を専門で担当する「エスタブリッシュ製品事業部」を新設した。
まず特許が切れた自社製品約70品目の販売を新部署に集約、他社の特許切れ成分を使った後発薬についても厚生労働省に販売許可を順次申請し、承認が得られ次第、発売する。Pfizerはジェネリックでも世界で5位で、子会社Greenstoneが扱っている。
日医工
ジェネリック医薬品最大手の日医工は本年1月14日、富山県滑川市の主力工場に遺伝子組み換え技術などを使って製造するバイオ後発薬の開発技術センターを設置し、バイオ薬品事業に参入することを発表した。
田辺三菱製薬
田辺三菱製薬は2008年4月1日付でジェネリック医薬品のプロモーション並びに販売を目的とした子会社の田辺製薬販売を設立した。
2008年5月には田辺三菱製薬は長生堂製薬と資本業務提携を行った。
長生堂製薬の株式の過半数を取得し、包括的な業務提携を行なって、この分野で豊富な事業経験と基盤を有する同社の製品ラインナップ、営業・生産基盤と、田辺三菱製薬の事業基盤を融合し、この分野のリーディング企業を目指す。
あすか製薬
中堅薬会社のあすか製薬(帝国臓器製薬とグレラン製薬が合併)は2009年4月、アイスランドのActavis Group とのJV あすかActavis製薬(あすか55%/Actavis45%)を設立した。
ジェネリック医薬品の開発、製造および販売を行う。
興和テバ
ジェネリック医薬品の世界最大手のイスラエルのTeva Pharmaceutical Industries は2008年9月、日本で興和との折半出資会社の興和テバ(Teva-Kowa Pharma)を設立して、日本市場に本格参入した。
合弁会社は、両社の研究開発、製造、物流、マーケティングの力を合わせ、日本市場で高品質のジェネリック医薬品の供給を行なう。
2008/9/26 ジェネリック医薬品の世界最大手、日本進出
興和テバは2009年12月に大正薬品工業と戦略的提携を行い、本年2月には増資引き受けで出資を88.28%に増やした。
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その他、各社の動き:
エーザイ
1996年4月に高齢者向けの価値型ジェネリック販売会社 エルメッドエーザイ(Elmed Eisai)を設立した。
価値型ジェネリックとは、「剤型」「情報」「経済性」において、従来の後発品にはない付加価値を持つジェネリックを意味する。
大原薬品工業
伊藤忠ケミカルフロンティア、稲畑産業、CBCがそれぞれ17.24%を出資。
共和薬品工業
2007年10月、インドのLupin Limited が共和薬品工業の株式の過半数を取得した。
Lupin は研究注力型のジェネリック企業で、プネ市に最先端の研究所を有し、抗結核薬及びセファロスポリン(抗感染症)、CVS(心血管系)のグローバル・リーダー。
サンド
SandozはNovartis のgeneric 部門 で、Tevaに次ぐ世界第二位のメーカー。
1996年にSandozとCiba-Geigyの統合によりNovartisが誕生したが、2003年にgeneric 部門がSandozとなった。
Sandozは2005年にドイツ2位のgeneric企業のHexal AG及びHexalと戦略的提携関係にある米国のEon Labsを買収し、統合した。日本のサンドは元は共立薬品工業で、1979年に米のRorer 傘下に入った。
Rorer は1990年にRhone Poulencに吸収されて Rhone Poulenc Rorerとなった。
Rhone Poulencの化学部門は1997年に分離してRhodia となった。
1999年に Rhone Poulenc RorerとHoechstが合併してAventisとなり、2004年にSanofi-Synthe'laboと合併して Sanofi-Aventisとなった。その後、Hoechst JapanがRhone Poulenc Rorerの日本のgeneric 部門を買収してCox Japan としていたが、Hexalが日本に進出してこれを買収し、Nippon Hexalに改称した。
SandozのHexal買収で2006年1月にサンド株式会社に改称した。Cox Pharmaceuticalsは英国のgeneric 会社で、Hoechstの子会社となった。
1998年にAlpharmaがCox を含むHoechstのgeneric 部門を買収した。
2005年にActavisがAlpharmaを買収した。
日本ケミファ
2002年にインドのRanbaxy Laboratoriesと包括的業務提携を行ったが、第一三共によるRanbaxy 買収の結果、2009年に包括的業務提携を解消した。
なお、日本薬品工業は日本ケミファとランバクシーの50:50のJVとなったが、提携解消で日本ケミファの子会社となっている。
日本ユニバーサル薬品
2007年4月、インドのZydus Cadila が日本ユニバーサルを買収した。
日本ユニバーサルと取引がある医薬品卸を通じて全国に4千カ所ある製品納入先の医療機関に販路を広げ、ザイダスの後発薬を 売り込む。Zydus グループの本社はインド北部グシャラード州アーメダバードにあり、インドではCadila Healthcare、インド国外ではZydusの名称で事業展開している。
メディサ製薬
沢井製薬の100%子会社であったが、2006年に住友商事が約20%、住商メディケムが約15%出資した。
マイラン製薬
2008年2月設立で、同年5月にメルク製薬を吸収合併した。
2007年に米国Mylan Laboratories がドイツのMerck KGaA からgeneric部門のMerck Generic Groupを、また、インドのMatrix Laboratoriesを買収し、genericで世界第三位になった。
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世界のgeneric医薬品メーカー大手は以下の通り。医薬品大手が含まれている。
企業 | 国 | 備考 | 日本の活動 |
Teva Pharmaceutical | イスラエル | 米国 Barr Pharmaceuticals を買収 | 興和テバ |
Sandoz | ドイツ | Novartis のgeneric 部門 | サンド |
Mylan | アメリカ | ドイツMerck のgeneric部門買収 インド Matrix Laboratories を買収 |
マイラン製薬 |
Watson Pharmaceuticals | アメリカ | Andrx を買収 | |
Greenstone | アメリカ | Pfizerのgeneric 部門 | ファイザー |
Apotex | カナダ | ||
Stada Arzneimittel | ドイツ | ||
Ratiopharm | ドイツ | ||
Winthrop | 英国 | Sanofi-Aventis のgeneric 部門 | |
Bayer | ドイツ | ||
Actavis Group | アイスランド | 米 Amide Pharmaceutical を買収 米 Alpharmaを買収 (Alpharmaは Coxを含むHoechstの generic部門を買収) |
あすかActavis製薬 |
Dr. Reddy's Laboratories | インド | ||
Ranbaxy Laboratories | インド | 第一三共が買収 |
目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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