チリのメタノール会社

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3月1日の日本経済新聞の「私の課長時代」に丸紅の朝田照男社長の記事が出ている。

  1986年、プロジェクト金融部金融開発課担当課長になる。

米複合企業のシグナル社が、チリに作るメタノール工場に納入する機器の支払いを対象にした150百万ドルのプロジェクトファイナンスを「引き受けないか」と言ってきた。

  シグナル社との交渉が始まり、朝田氏は米サンディエゴに通い詰めた。

契約にこぎつけたのは89年末。
ところが2年後の91年、シグナル社はこの事業を丸ごと売却する。利益は出ていたのに「化学品はコアではなくなった」とあっさり。

(これらの年号は事実と若干異なっているようだ)

このメタノール会社はCape Horn Methanol Ltd.という名前で、Allied-Signal の子会社 Henley Group が82%を出資、丸紅とチリの投資家が残りを出資していた。
Cabo Negroに能力75万トンの工場を建設、1988年に稼動した。
原料の天然ガスを近くの石油・ガス田からパイプで輸送した。

このプロジェクトは1982年に当時Wheelabrator Technologiesの子会社であったKelloggが始めたものだが、1983年にWheelabratorSignal に買収された。
Signal 1985年に Allied Corp. と合併しAllied-Signal となった。

1986年にAllied-Signal はコア事業を航空宇宙、自動車用製品、工業材料の3分野に絞り、非戦略事業の35事業を子会社のHenley Group に移し、順次売却した。メタノールのCape Horn Methanolもこれに含まれた。

1993年にカナダのMethanexがこれを買収し、その後、1996年、1999年、2005年に3工場を稼動させ、現在は4工場で合計3,800千トンの能力となっている。

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Allied-Signal 1993年にAlliedSignal と改称、1999年に航空部門大手のHoneywell を150億ドルで買収して合併し、社名をHoneywell に変えた。

その後、GEとの買収を目指したが、EUの反対で実現しなかった。

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Methanex のメタノール能力は以下の通り。(千トン)

工場 能力  備考
Canada Kitimat     0  2005/11停止
Trinidad Point Lisas   850  
Atlas Methanol  1,700  BP 36.9%/Methanex 63.1%
Chile Cabo Negro  3,800  4 plants
New Zealand Motunui and Waitara Valley  2,400  2 plants
合計    8,750  
建設中
Egypt

Damietta
 
1,300
Methanex 60%
エジプト政府機関 33%
APICORP 7%

このほか、Methanexは中国のXinAo GroupDME製造販売子会社の20%を買収した。

上海近郊に第一期 200千トンプラント(最終 1,000千トンの計画)を建設中で、
Methanex は原料メタノールを供給する。

 


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