地球温暖化対策基本法案を閣議決定

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政府は3月12日、2020年までに1990年比25%とする温室効果ガス削減の中期目標を明記した「地球温暖化対策基本法案」を閣議決定した。今国会での成立を目指す。

民主党鳩山代表は2009年9月7日開かれた朝日新聞社主催 「朝日地球環境フォーラム2009」で、日本の2020年までの温室効果ガス排出削減の「1990 年比25%減」を実現する考えを明言した。「あらゆる政策を総動員して実現」するとした。

2009/9/9 温暖化対策 「鳩山イニシアティブ」

政府内で調整が難航していた国内排出量取引制度について「総量規制を基本」とした上で「原単位の制度も今後検討する」と議論の余地を残した。
小沢鋭仁環境相は、「環境と経済成長の両立という観点から排出量をコントロールしたい」と述べた。

温暖化対策のための原子力発電所の位置づけは「推進する」とし、削除を求めていた社民党の要求は退けた。

 

温暖化対策基本法案の要旨は次の通り。

温室効果ガス排出削減目標は、2020年までに1990年比25%削減
   
  この目標は、すべての主要国が公平かつ実効的な地球温暖化防止の国際枠組みを構築し、意欲的な削減目標に合意したと認められる場合に設定する。
   
2050年までには、1990年比80%を削減する。
   
地球全体の排出量を2050年までに少なくとも半減する目標を、すべての国と共有するよう努める。
   
再生可能エネルギーは、2020年に1次エネルギーの供給量の10%にすることを目標とする。
   
温室効果ガスの国内排出量取引制度を創設。
   
  必要な法制上の措置を地球温暖化対策税と並行して検討、基本法施行後1年以内を目途に成案を得る。
   
取引の排出限度の設定方法は、排出総量の限度を基本としつつ、生産量その他事業活動の規模を表す量の1単位当たり排出量を定める方法も検討する。
   
原子力にかかる施策は、国民の理解と信頼を得て推進する。
   
税制全体のグリーン化を推進、温暖化対策税は2011年度実施に向け検討する。
   
再生可能エネルギーで発電した電気の全量を電気事業者が一定の価格で調達する固定価格買い取り制度を創設する。

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これに対し、日本化学工業協会や石油連盟など業界9団体は12日、反対の共同意見書を発表した。石油連盟、セメント協会、電気事業連合会、電子情報技術産業協会、日本化学工業協会、日本ガス協会、日本自動車工業会、日本製紙連合会、日本鉄鋼連盟で、内容は以下の通り。

(1) 中長期目標について
  どの分野において、どのような技術を用いて、どれだけの温室効果ガスを削減するのかを明らかにし、経済成長戦略とも整合のとれるロードマップを策定すること。(実現可能性
     
  当該ロードマップを実行するために必要なコスト、ならびに我が国経済、国民生活や雇用に与える影響と、国民負担を明らかにすること。(国民負担レベルの妥当性
     
  こうした点を踏まえた上で、各国が国連に提出した目標水準の検証を行なう等により、「前提条件」が満たされたか否かの判断を含め国際的な公平性を確保すること。(国際的な公平性
     
(2) 個別施策について
    国民生活や産業活動に甚大な影響を及ぼすことから、その政策効果や国民負担等の検証を行い、十分な情報開示と開かれた国民的議論を通じて、導入の是非も含め制度のあり方を検討すること。
     

日本経団連の御手洗冨士夫会長は、「十分な議論や情報開示がなされないまま決定したのは極めて残念。国会で審議を十分尽くす必要がある」とのコメントを発表した。

経済同友会の桜井正光代表幹事は、「目標達成への道筋や、経済・国民生活の影響についての説明が不足したまま閣議決定に至った」と指摘、日商の岡村正会頭は、「法案審議や基本計画策定などの各段階において十分な説明が必要。産業界、国民の意見を聞く機会もつくってほしい」と要望した。

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一方、 排出量取引について、当初案は企業に排出総量の上限を課す形が示されていたが、今回は、「排出総量の限度を基本としつつ、生産量その他事業活動の規模を表す量の1単位当たり排出量を定める方法も検討する」としたことについて、環境保護団体などからの批判が出ている。

河野太郎衆院議員は過激な批判をしている。

原単位方式を入れようというのは、もはや狂っているとしか言いようがない。

原単位方式では総量は減らない!
生産量を増やした企業は、原単位を改善して儲けてしまうので、総量を増やそうとするインセンティブが働くことになる。

結局、電力会社と鉄鋼会社に不利にならないように、つまるところは、電力と鉄鋼の労働組合の既得権を維持するために民主党の環境大臣、経産大臣達が頑張っているのだ!

・・・

経済調和条項を、ひたすら至る所に埋め込もうというのが経済産業省。大臣は誰だ?

(ちなみに経済調和条項とは、かつて公害対策の法律に埋め込まれて、「経済と産業に悪影響を与えない限り」やっていいよという役所の究極の言い逃れ。---)

総理、まじめに温暖化対策、おやりになるつもりですか。

http://www.taro.org/2010/03/post-726.php

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原子力施策の「推進」が盛り込まれた点について、「脱原発」を党是とする社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相は「100%納得しているわけではない。せめて『国民の理解と信頼を得て行う』としたかった」と強調。新たな原子力発電所の建設には「反対だ」と明言した。

 


目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

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