中国、Rio Tinto 社員に重刑

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昨年7月5日に拘束され、8月11日に逮捕され、本年2月11日に起訴されたRio Tinto社員4人に対し、3月29日に判決があった。

2009/8/18 Rio Tinto 事件と中国での贈賄事件

上海第一中級人民裁判所はRio Tinto の中国事務所長(中国系で豪州国籍)に収賄で7年、産業スパイで5年(但し、合計で10年)の禁固刑、100万人民元(146千ドル)の罰金を命じた。

他の3人(いずれも中国人)については、それぞれ、7年、8年、14年の禁固刑となった。
4人は合計9200万人民元の賄賂を受け取ったとされ、14年の禁固刑を受けた社員は最多額の賄賂を受け取ったとされる。

▽胡士泰(Stern Hu):非国家公務員収賄罪および商業機密侵害罪で懲役10年、財産没収、罰金100万元
▽王勇:懲役14年、財産没収、罰金520万元
▽葛民強:懲役8 年、財産没収、罰金80万元
▽劉才魁:懲役7年、財産没収、罰金70万元
 なお、違法所得は全て没収される。

4人は産業スパイ(刑法219条違反)と贈賄(163条違反:政府当局者以外への贈賄)の容疑で逮捕された。
実際には収賄であり、Rio Tintoもこれを認めている。
売り手が買い手から多額の賄賂を何故受け取れたのか、不明である。
被告4人はそれぞれ、商業機密侵犯事件の容疑で捜査の手が及ぶと、賄賂を受け取ったことを自ら認めたとされる。

判決では、賄賂に加え、中国の鉄鋼会社から秘密情報を取得し、これにより中国がRio Tinto, BHP BillitonVale3社から輸入する鉄鉱石の価格を引き上げられたとした。4人は中国の鉄鋼会社の競争力を損ね、大きな損失を蒙らせ、中国の国益を損ねたとしている。

裁判所は同日、中国の鉄鋼会社の首鋼集団(Shougang)と莱蕪鉄鋼集団(Laigang)の役員各1名に対し、秘密情報をRio Tintoに漏らした罪で判決を下した。(内容は発表されていない)

弁護士はまだ4人と会っていないため、控訴するかどうかは分からないとしている。

オーストラリアの外相は、豪州の基準からみれば厳しすぎるとしながらも、中国の司法手続きを尊重するとし、豪州と中国の関係に影響を与えないと述べた。

但し、収賄行為があったことは認めながら、産業スパイについては詳細が明らかにされておらず、"serious unanswered questions"があるとしている。中国はcommercial secrets の概念を明らかにしておらず、4人の問題にとどまらず、広く国際取引に携わるものの問題であると述べた。

情報では、価格交渉を進めるため、国営鉄鋼会社の生産量や在庫量を表した秘密の政府資料を入手しようとしたとされ、これらの資料により、Rio Tinto は 価格交渉上で有利な立場になるとしている。
Rio Tinto の 上海事務所から押収されたコンピューターに政府の秘密データがあったとされる。

4名は国家機密窃取の疑いで拘束されたが、罪名は、「国家機密窃取」から「商業機密侵犯」に「降格」した。
弁護士の推測では、捜査担当者は今回の事件が関わっ た機密内容と主体を考慮した結果、商業機密侵犯容疑が比較的妥当であると判断した模様。

但し、国営鉄鋼会社の生産量や在庫量の情報を得ただけだとすると、これが犯罪になるのであろうか?

確かに、日本の企業にとっても、今後の中国での情報収集活動に影響を与える。

Rio Tinto は判決後、収賄は中国の法律とRio Tinto の行動規範に反するものであり、4人を解雇するとの発表を行った。
4人が賄賂を受け取ったことについて、法廷に提出された疑いのない証拠を聞かされているとしている。


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