後発医薬品世界最大手のTeva Pharmaceutical Industriesは3月18日、ドイツ2位で世界6位の後発医薬品メーカー、Ratiopharmを36億2500万ユーロで買収すると発表した。買収手続きは年末までに終える見通し。
買収後のTevaは年売上高で162億ドルと新薬大手に並ぶ規模となる。従業員は計4万人でうち欧州は1万8000人となる。
Tevaの2009年の売上高は139億ドル、うち80%以上が北米と欧州となっている。
従業員は38千人で、製造拠点はイスラエル、北米、欧州、中南米。Ratiopharmの2009年の売上高は16億ユーロ(約22億ドル)で従業員は5500人。
世界のgeneric医薬品メーカー大手は下記参照
2010/3/5 日本のジェネリック市場の動き
Tevaは日本で興和と合弁会社興和テバを開始するなど世界規模で事業拡大を加速している。Pfizer、Novartis (Sandoz)、Sanofi-Aventis、Bayerなど新薬メーカーが後発薬強化に動くなか、M&Aで対抗する。
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RatiopharmはAdolf Merckleの一族のVEM Vermoegensverwaltung GmbHの子会社で、VEMはほかに、ドイツ最大の医薬卸のPhoenix Groupやドイツ最大のセメント会社HeidelbergCement AG を持っている。
Adolf Merckleは2009年1月、列車に飛び込み、自殺した。
VEM Vermoegensverwaltung は2008年にVolkswagen の株の下落を見込んで空売りを行ったが、Volkswagen の20%株主の Porscheが株の買い増しを発表し、2日間で株価が4倍になり、大きな損失を負った。(2009年1月にPorsche持ち株比率は50.76%となり、子会社化した。)
HeidelbergCementも金融危機で建材の需要が激減し、株価が70%下落している。
Adolf Merckleは自殺前、銀行団と50億ユーロ(67億ドル)の負債について交渉していた。
その後、VEM Vermoegensverwaltung は銀行団と繋ぎ融資で合意、その条件としてRatiopharmを売りに出した。
多くの企業が買収に乗り出し、最終的にTeva Pharmaceutical と、アイスランドの後発薬メーカーActavis Group、及びPfizerの3社が残っていた。
Teva は他社よりも少なくとも2億ユーロ高い価格をオファーしたと言われている。Pfizerが最後に値上げをしたが、及ばなかった。
Teva に負けたPfizerはRatiopharmに次ぐStada Arzneimittel を狙うのではないかとみられている。
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http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。
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