次世代自動車戦略 2010

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経済産業省は4月12日、電気自動車やハイブリッド車などの普及を目指す「次世代自動車戦略 2010」を発表した。

自動車や関連産業および社会全体の中長期的な対応のあり方に関する新たな戦略を構築すべく「次世代自動車戦略研究会」でとりまとめたもので、研究会は各自動車メーカーや電機メーカー、経産省、大学など産官学のスタッフでメンバーが構成されている。

次世代自動車をハイブリッド自動車、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車、クリーンディーゼル自動車と定義、「全体戦略」「電池戦略」「資源戦略」「インフラ整備戦略」「システム戦略」「国際標準化戦略」の6つの戦略を策定している。

今年2月時点で新車販売に占める次世代車割合は9.3%に過ぎないが、戦略では、2020年に20~50%、2030年に50~70%に引き上げる目標を掲げた。

EVに必要な急速充電器を2020年に5000基、家庭用などの普通充電器を200万基設置する目標も設定。
EVに使用する蓄電池などの国際標準化で日本が主導的役割を果たすことを盛り込んだ。

新興国などで普及が進む従来型のガソリン車についても「低燃費車の開発を続けることが生命線」と明記。
環境性能が優れたガソリン車と、次世代車を合わせて「先進環境対応車」とし、2020年に新車販売の80%を目指す目標を掲げた。

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戦略策定の議論ではメーカー側から「最大限の努力をしても2020年の次世代車は全体の20%未満」との声が上がった。

戦略では「先進環境対応車」という新たな概念をこしらえ、2020年に新車販売の80%との目標も示したが、次世代車が2020年に20%としても、低燃費のガソリン車を含めて80%なら目標を達成したことになる。

急速充電器も1基設置するのに600万円程度かかるとされ、EVの購入補助やインフラ整備には積極的な財政出動が不可欠だが、目標達成に向けた財政支出は明記されなかった。

なお、3月31日発表の温暖化対策「ロードマップ」(環境相試案)では2020年までに1990年比で 25%削減する目標の達成に向けた具体策として、
  ハイブリッド自動車(普通・小型乗用車) 約50%
  電気自動車 (普通・小型乗用車) 約7%
としている。

2010/4/8  温暖化対策「ロードマップ」、環境相試案を発表 

鳩山政権は次世代車普及を6月にまとめる新成長戦略に盛り込む考えだが、政府内の調整も必要となる。

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「次世代自動車戦略 2010」の概要は以下の通り。
  
http://www.meti.go.jp/press/20100412002/20100412002-3.pdf

6つの戦略

  目標 アクション・プラン 資料
全体戦略 日本を次世代自動車
開発・生産拠点に
・普及目標(2020年・2030年)の設定
 -次世代自動車:
2020年最大50%
 -先進環境対応車:
2020年最大80%
  (次世代+環境性能に特に優れた従来車)
・燃料多様化
・部品の高付加価値化
・低炭素型産業立地促進
車種別普及目標



電池戦略 世界最先端の電池
研究開発・技術確保
・リチウムイオン電池の性能向上
・ポスト・リチウムイオン電池開発
・電気自動車普及による量産効果創出
・電池二次利用のための環境整備
電池開発目標
(2006年策定)
資源戦略 レアメタル確保+
資源循環システム構築
(上流)・戦略的資源確保
(中流)・レアメタルフリー電池・モーター確保
(下流)・電池リサイクルシステム構築
資源戦略
ロードマップ
インフラ
整備戦略
普通充電器 200万基
急速充電器 5000基
・市場準備期の計画的集中的インフラ整備
 -EV・PHVタウンを中心に
・本格普及期への道筋構築
 -EV・PHVタウンベストプラクティス集策定
 -民間(CHAdeMO協議会)との連携
インフラ整備
ロードマップ
システム戦略 車をシステム(スマート
グリッド等)で輸出
・EV・PHVタウンでの新たなビジネスモデル創出
・次世代エネルギー社会システム実証事業での
 検証
・検証結果を踏まえた国際標準化・ビジネスへの
 展開
国際標準化
ロードマップ
国際標準化
戦略
日本主導による
戦略的国際標準化
・電池性能・安全性評価手法の国際標準化
・充電コネクタ・システムの国際標準化
・官民による標準化検討体制強化
・標準化人材育成

資料

車種別普及目標
  2020年   2030年
民間努力
ケース
政府目標   民間努力
ケース
政府目標
従来車 80%以上 50~80%   60~70% 30~50%
次世代自動車 20%未満 20~50%   30~40% 50~70%
次世代内訳 ハイブリッド自動車 10~15% 20~30%   20~30% 30~40%
電気自動車 5~10% 15~20%   10~20% 20~30%
プラグイン・ハイブリッド自動車
燃料電池自動車 僅か ~1%   1% ~3%
グリーンディーゼル自動車 僅か ~1%   ~5% 5~10%

      政府目標達成には政府による積極的なインセンティブ施策が必要と注記している。

 
電池研究開発目標(2006年策定)
  2006年 改良型電池
(2010年)
先進型電池
(2015年)
革新型電池
(2030年)
電力会社用小型EV 用途限定コミューターEV
 高性能HV
一般コミューターEV
燃料電池自動車
Plug-in HV 自動車
本格的EV
性能 1 1 1.5倍 7倍
コスト 1 1/2倍 1/7倍 1/40倍
開発体制 民主導 民主導 産官学連携 大学・研究機関

(1)先進型リチウムイオン電池の開発(2007~2011年度)

 ・ハイブリッド自動車、電気自動車の動力源となるリチウムイオン蓄電池の更なる性能向上・コスト低減
  を目指す。
 ・2010年度予算 24.8億円 (2009年度予算 26.1億円)                             

(2)革新型電池(ポスト・リチウムイオン電池)の開発(2009~2015年度) 

 ・包括的な産学官共同研究により蓄電池の反応メカニズム等を解明し、ポストリチウムイオン電池開発の
  フロントランナーを目指す。
 ・2010年度予算 30億円 (2009年度予算 30億円)

 
資源戦略ロードマップ
 
インフラ整備ロードマップ
 
国際標準化ロードマップ

 


 目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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