東京都は2008年の条例改正(2009年4月1日施行)で、都内の大規模事業所を対象に温室効果ガス排出量の「総量削減義務と排出量取引制度」を導入したが、この削減義務が4月1日から開始した。
東京都は2002年に地球温暖化対策計画書制度を導入、都の「指導、助言」や「評価・公表」等による排出量削減に取り組んできたが、自主的取り組みだけでは大幅なCO2の削減に必要な基本的なレベルを超える より踏み込んだ対策の計画化は極めて困難であることから、制度を強化した。
本制度の対象事業所は約1300で、都内事業所の1%にも満たないが、CO2排出量の合計は、都内業務・産業部門の約4割を占めている。
CO2の排出総量削減を義務付け、事業所間の排出量取引を認める「Cap and Trade」制度で、義務を守らなければ事業所名公表や50万円以下の罰金などの罰則が科せられる。
オフィスビルなどを対象に加えて総量規制するのは世界で初めてで、東京を世界有数の「低炭素型都市」に変えることを目指す。
概要は以下の通り。
対象事業所 | 温室効果ガスの排出量が相当程度大きい事業所 燃料、熱及び電気の使用量が、原油換算で年間1500kl 以上の事業所 |
削減義務者 | 対象となる事業所の所有者(原則) テナントビルの場合、ビルオーナーを義務対象の基本としつつ、 |
削減計画期間 | 5年間 第1計画期間:2010~2014年度 第2計画期間:2015~2019年度 以後、5年間ごとの期間 削減義務の開始:2010年4月 |
義務の内容 | 基準となる排出量に対して、削減計画期間中の排出量を、一定程度以上削減する義務 ※毎年度、前年度の温室効果ガス排出量を知事へ報告 (排出量の報告は、知事の登録を受けた検証機関の「検証」を受けることが必要) |
基準排出量 | 2002-2007年度までの間のいずれか連続する3か年度の平均排出量から設定 ※3か年度のうちに、排出量が標準的でないと知事が特に認める年度がある場合、 その年度を除く2か年度とすることができる。 |
削減義務率 (第1計画期間 5年間) |
・オフィスビル等と地域冷暖房施設:8% ・オフィスビル等のうち、地域冷暖房を多く利用している事業所:6% (全エネルギー使用量に占める地域冷暖房から供給されるエネルギーの割合が20%以上) ・その他(工場、上下水施設、廃棄物処理施設等):6% 削減に向けた対策の推進の程度が特に優れた事業所:削減義務率を1/2又は3/4に軽減 なお、第2計画期間の削減義務率は17%の見通し |
削減義務 履行手段 |
(1)自らで削減 高効率なエネルギー消費施設・機器への更新など (2)排出量取引(他者の「削減量」の取得) ・超過削減量:他の対象事業所が義務量を超えて削減した量 基準排出量x削減義務率x削減計画期間経過年数で算定される量を超過して削減した分 但し、基準排出量の1/2までしか売れない ・中小クレジット:都内の中小規模事業所が省エネ対策の実施により削減した量 ・都外クレジット:都外の事業所における削減量 ・再エネクレジット:再生可能エネルギーの環境価値 太陽光、風力、地熱、中小水力は1.5倍換算ができる。
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実効性の確保 | 削減義務未達成の場合、不足量を削減するよう措置命令 (必要な削減量は義務違反による加算分を含み、1.3倍) →措置命令違反の場合、罰金(上限50万円)、氏名公表、 知事が代わって必要量を調達(費用は違反者に求償) そのときの価格は二酸化炭素1トンあたりで1.5万円を考えているとのこと |
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CO2排出量上位の事業所(工場を除く)は以下の通り。
(1) | 東京大学本郷キャンパス | 8.7万トン | ||
(2) | 日本空港ビル | 7.7 | ||
(3) | 東京ミッドタウン | 6.5 | ||
(4) | サンシャインシティ | 6.4 | ||
(5) | 六本木ヒルズ森タワー | 5.7 |
東京大学ではCO2削減プロジェクトを進めている。
既に樹脂製内窓を取り付ける窓のリフォームを実行した。
東大サステイナブルキャンパスプロジェクトを行っており、2008年度から2012年度の5年間のTSCP2012では、2006年度に比べ2012年度には非実験系の二酸化炭素排出量の15%削減(大学全体の二酸化炭素排出量に対する削減率13%)を目標にしている。 http://www.tscp.u-tokyo.ac.jp/about.html
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安井至先生の「市民のための環境学ガイド」で、東京都の新制度を取り上げている。
http://www.yasuienv.net/ETradeTokyo.htm
目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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