プライムポリマー、宇部ポリプロを停止、清算へ

| コメント(0)

プライムポリマーは4月5日、国内需要の低迷を受けての事業の抜本的な構造改善の一環として、宇部ポリプロ有限会社のポリプロピレン製造設備を2011年3月に停止し、2012年3月を目途に同社を清算することを決定したと発表した。

宇部ポリプロの概要:
 ・設立 :1990年12月(営業運転 1993年10月)
 ・資本金 :4.75億円(プライムポリマー100%出資)
 ・工場所在地:山口県宇部市三井化学西沖工場内

 ・生産能力 :9万t/年
 ・従業員数 :56名(2010年3月末)

産構法終了後に、各樹脂の増強計画が持ち上がったが、各社単独での大規模計画は困難なため、産構法後も存続していた共販会社単位での合弁事業として実施された。

このうち、ユニオンポリマーでは、住友化学・宇部興産・トクヤマの3社が1988年にまず千葉に千葉ポリマーを設立し、60千トンプラントを建設(その後80千トンに)、第二工場として1990年に宇部ポリプロを設立して宇部に80千トンプラントを建設した(その後90千トンに)。

千葉ポリプロ:住友化学 47.5%/宇部興産 31.7%/徳山曹達 15.8%/ユニオンポリマー 5.0%
宇部ポリプロ:宇部興産 47.5%/住友化学 29.69%/徳山曹達 17.81%/ユニオンポリマー 5.0%
 * 共販体制下での行動であることから、共販会社のユニオンポリマーも資本参加した。

当時、宇部興産は宇部の西沖の山埋め立て地に宇部興産(50%)、三井東圧(25%)、日本石油化学(25%)が出資して500千トンのエチレンプラントを建設する計画を持ち、これを前提に同地に宇部ポリプロのPPプラントを建設、三井東圧が将来JV化を前提にSMプラント(三井東圧、宇部興産、鐘淵化学が固定費負担で引取り)を建設した。
その後、エチレン構想は中止となった。
SMの共同事業は解消することで合意、三井化学は操業を継続したが、その後、事業を太陽石油に譲渡、2004年1月に太陽石油化学が営業を開始した。

ユニオンポリマーの残るメンバーのチッソはこれには参加しなかったが、PP参入を狙う東ソーと組み、1988年に四日市ポリプロを設立、東ソー構内に40千トンプラントを建設した(その後 65千トン→80千トンに)。
  東ソー 47.5%/チッソ 47.5%/ユニオンポリマー 5.0%

1995年に東ソーが営業権をチッソに譲渡、2003年にチッソが吸収、同年のチッソの日本ポリプロ参加で、日本ポリプロの工場となった。

1995年の共販会社解散に当たり、住友化学と宇部興産は互いの宇部ポリプロ、千葉ポリプロの持株を交換、トクヤマは2001年に千葉ポリプロから、2003年に宇部ポリプロから撤退した。

千葉ポリプロは2001年に住化100%となり、同年10月に住化に設備を譲渡した。

トクヤマは2001年にPPの営業権を出光石化に譲渡すると同時に、トクヤマの工場内に両社JVの徳山PPを設立した。トクヤマは営業譲渡の見返りに出光のプラントを同社の工場を誘致し、製造受託をするもの。
(トクヤマはPP営業権を出光に譲渡した後も、2003年まで宇部ポリプロの株を持ち続けた。)

徳山ポリプロは出光興産のプライムポリマー参加で、プライムポリマーとトクヤマのJVとなっている。

宇部興産は1995年7月、三井石油化学50/50の出資でグランドポリマーを設立、両社のPP事業を統合して10月から営業を開始した。その後、199710月の三井石油化学と三井東圧化学の合併に先立ち、三井東圧のPP事業が新たに加わった。
宇部興産は宇部ポリプロ(当時は宇部/トクヤマのJV)の持分をグランドポリマーに譲渡した。

2000年11月に三井化学と住友化学の統合が発表されたが、宇部興産はこれを機にPP事業から撤退した。
2001年10月に宇部興産はグランドポリマーの持分を三井化学に譲渡し、2002年4月、三井化学はグランドポリマーを吸収合併した。宇部ポリプロは三井/トクヤマのJVとなった。

三井化学は2003年にトクヤマから宇部ポリプロの持分の譲渡を受け、同社を100%子会社とした。

三井化学と出光興産(当時は出光石油化学)はポリオレフィン事業を統合し、2005年4月にプライムポリマーをスタートさせた。
宇部ポリプロはプライムポリマーの100%子会社となった。

ーーー

ユニオンポリマーグループ以外のPP共同生産では、三井日石ポリマーの浮島ポリプロと、三菱のダイヤポリマーのディー・ピーピーがある。

浮島ポリプロ

日本石油化学は三井東圧とのPPのJV・泉北ポリマーに参加し、PPを販売しているが、自社での生産を 希望。

1988/4 浮島ポリプロ設立、川崎に年産8万トン建設。
(日本石油化学 30%、三井東圧 30%、三井石油化学 30%、三井日石ポリマー 10%

その後、1996年に三井東圧が撤退(泉北ポリマーと交換)、1997年の三井化学誕生で
日石化学 66.7%、三井化学 33.3%
となったが、
1999年に日石化学 100%となり、2002年に日石化学が参加するサンアロマーが譲受けた。

ディー・ピーピー

1989/11 三菱油化と三菱化成はPPプラントを東西に1ヵ所ずつ建設すると発表、新会社を設立し、鹿島に8万トン、水島に5万トンを建設した。
(三菱油化 50%/三菱化成 50%

三菱化学誕生で、三菱化学が吸収した。

ーーー

日本のPP能力は以下の通り。(千トン)

プライム
 ポリマー
出光興産・千葉    400
三井化学・千葉 223
三井化学・大阪 448
宇部ポリプロ・宇部 90
徳山ポリプロ・徳山 200
プライムポリマー合計 1,361
   
サンアロマー 347
住友化学 316
日本ポリプロ 1,082
合計 3,106

 目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


コメントする

月別 アーカイブ