水俣病「救済措置の方針」を閣議決定

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鳩山内閣は16日、水俣病の未認定患者を救済するための特別措置法の「救済措置の方針」を閣議決定した。

「水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法」(平成21年7月15日法律第81号)は2009年7月8日の参院本会議で可決成立した。
一時金の額など具体策は今後、環境省、チッソ、被害者団体などで協議するとしていた。

2009/7/3 水俣病救済法案、衆院を通過、来週成立の見通し

別途、水俣病不知火患者会が国などに損害賠償を求め集団訴訟を行っていたが、熊本地裁は3月15日の第4回和解協議で所見を示し、年内に決着するよう要請した。

政府、チッソ、患者会はいずれも、これの受け入れを決め、3月29日の第5回和解協議で和解に基本合意した。

今回の「方針」はこれを折り込み、特措法の具体策を決めたもの。

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水俣病患者救済をめぐっては、国が1977年に設けた認定基準が「二つ以上の症状の組み合わせ」がある人のみを患者としたため、基準に満たない被害者らが国などを相手に訴訟が相次ぎ、1995年の村山内閣による政治決着で約1万人を救済した。

しかし、2004年の関西訴訟の最高裁判決が国の認定基準より幅広く水俣病と認めたため、再び水俣病被害を訴える患者が続出したため、未認定患者を救うため昨年7月に特措法が成立した。1995年の政治決着につぐ第2の大幅救済になる。

ただ、水俣病被害者互助会(水俣市)など依然として訴訟を続ける被害者団体もある。
また現時点で救済を求めている人のほかにも、自分が水俣病だと気づいていない人が相当数いるとみられる。「被害地域の全住民の健康調査で被害の全容を明らかにしなければ、最終解決にならない」との指摘がある。

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水俣病犠牲者慰霊式が行われる5月1日から熊本、鹿児島、新潟の3県で救済申請を受け付ける予定。

「方針」の内容は以下の通り。

救済対象 熊本、鹿児島県の水俣湾や、新潟県の阿賀野川の周辺地域に、
1968年12月末以前(新潟は1965年12月末以前)に1年以上居住するか、
水俣湾やその周辺(新潟は阿賀野川)の魚介類を多く食べた者

母胎を通じてメチル水銀摂取の可能性があるため、1969年11月末までに生まれた者も対象とする。
これより後に生まれても、へその緒などで水銀摂取がわかれば対象となる。

症状としては、手足の先の感覚が鈍いことや全身の感覚障害。
口周囲の触覚や痛覚障害なども考慮するとしており、1995年の政治決着より広げた。

死亡した人についても、過去の公的な診断資料などによって申請が可能となり、遺族が一時金を受 け取ることができる。

(環境省では、対象者は3万人を超える可能性があるとしている。)

救済希望者は申請後、3県が指定する公的医療機関で受診、3県に設置される判定検討会で対象となるかどうか判断する。

 特措法での救済は3県に設置される「判定検討会」がその診断書を基に対象者かどうかを審査する。
 3月の和解案による救済は原告、被告双方が推薦する医師らでつくる「第三者委員会」が判定する。

受付期限 5月1日に受付開始予定。
受け付けは2011年12月までを一区切りとするが、その時の状況により判断する。
特措法が定める救済措置の開始後3年以内には確定させる。
救済措置 一時金:210万円

療養手当月額 :
 入院療養を受けた者  月額17,700円
 通院療養を受けた日数が1日以上で、  
   70歳以上の者  月額15,900円
   70歳未満の者  月額12,900円

療養費の自己負担分

一時金
加算額
被害者団体計3団体に、活動費用や社会福祉施設の運営費などとして計31億5千万円支給
 「水俣病出水の会」(鹿児島県出水市)に29億5000万円
   同会が取り組む胎児性患者支援事業費 9億5000万円を含む。
 「水俣病被害者芦北の会」(熊本県津奈木町)に1億6000万円。
 「水俣病被害者獅子島の会」(鹿児島県長島町)に4000万円。
負担 一時金や加算金は原因企業のチッソが負担する。
但し、チッソは債務超過に陥っていることなどから、国は熊本県が出資する財団法人を通じ、資金支援をすることも閣議で了解された。

鳩山由紀夫首相は16日、記者団に対し「これまで苦しみ抜かれた方々のお気持ちを考えると大変つらい思いだが、国として改めておわびする。一定の区切りがつけられることは、よかったと思う方も多いのではないかと思う」と述べた。

小沢鋭仁環境相は閣議決定後の会見で、「水俣病公式確認から54年、多大な苦痛を強いられた被害者、引き裂かれた地域社会に思いをはせると、行政のあり方を反省し、おわびの気持ちでいっぱいである」と語った。

 

今後の問題として、チッソの分社化の問題がある。

2010/1/11 チッソ会長、「10月分社化目指す」

 


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