SABICとCelaneseは4月1日、サウジのJubail Industrial City のNational Methanol Co. (IBN SINA)で年産5万トンのポリアセタール(polyoxymethylene:POM) を建設する契約を締結したと発表した。建設費は4億ドルで、2013年稼動の予定。
IBN SINAはSABICが50%、Celaneseが25%、Duke Energyが25%出資しているが、POM完成後はCelanese 32.5%、Duke Energyが17.5%となる。
IBN SINAは1981年にSABICが50%、CTE 50%で設立された。
CTEはCelanese A.G. 子会社のElwood Insurance とPanEnergy子会社Texas Eastern Transmission の均等出資であったが、PanEnergyはDuke Energyに吸収合併され、その後、現在の出資構成となった。
Texas EasternはMTBE事業の関係で参加した。当初、メタノール 90万トン、MTBE 70万トンを建設、1985年に生産を開始した。
現在のメタノール能力は110万トン。Celaneseは過去3年間でJVから配当 238百万ドルを受け取っている。
SABICは2020年にglobal leader になるという2020 Strategic Plan を持っているが、POM事業は機能性化学品でSABICの位置を高めるというStrategic Planの重要な部分であり、また、自動車や先端産業に進出する契機にもなるとしている。
SABICはGE Plasticsを買収してSabic Innovative Plastics とした。同社は変性PPE、PC、PBT、PEI (polyetherimide)、ABSやそれぞれのアロイ、及びLNP コンパウンドなどのエンジニアリングプラスチックを持つが、POMそのものは製造していない。
SABICは2009年5月に投資額32億ドルの誘導品計画を明らかにしたが、これをSaudi International Petrochemical Company (Sipchem) と相互協力で実施する覚書に締結している。
2009/5/11 サウジのSABICとSipchem、新プロジェクトで 相互協力の覚書
SABICの計画は以下の通り。
MMA 250千 トン } 三菱レイヨンがJVの交渉 PMMA 30千 トン アクリロニトリル 200千トン 旭化成がJVの交渉 ポリアクリロニトリル 50千トン ポリアセタール 50千トン カーボンファイバー 3千トン 青酸ソーダ 40千トン
今回の計画はこのなかのPOM 5万トン計画で、POMの原料のメタノールをもち、Celanese(子会社Ticona がPOM事業を行う)が参加しているIBN SINAでの実施を決めたもの。
(POM ホモポリマーは、メタノールを空気酸化してホルムアルデヒドをつくり、これを重合して生産する。Celaneseはメタノールを購入してホルムアルデヒドを製造し、Ticonaに供給している)
なお、SABICはIBN SINAのほかに、三菱ガス化学主導の日本・サウジアラビアメタノールとのJVのSaudi Methanol (AR-RAZI)を持っている。
2006/3/31 サウジ・メタノール計画
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