富士フィルム
富士フィルムの営業損益は構造改革処理前では前年を308億円上回ったが、1,437億円もの構造改革費用を計上した結果、最終営業損益は421億円の赤字、当期損益も384億円の赤字となった。
単位:億円(配当:円) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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同社は2006年4月に中期経営計画「VISION 75」を発表したが、2009年度の営業利益を2,500億円を目指し、2005-6年度で累計1,650億円以上の構造改革費用を計上した。
(2007年3月期は941億円となったが、他に営業外損益で224億円を計上、これを含めると2年間合計の実績は2,025億円となる。)
その後も構造改革を続け、最終仕上げとして、2010年3月期に1,437億円を計上、2011年3月期に250億円を予定している。
6年間の構造改革費用の合計は4,377億円もの多額にあがる。(営業外損益分を含む)
構造改革のポイント
・間接部門の大幅スリム化
・R&Dの効率化・重点分野へのシフト
・フォト事業の徹底的スリム化
・デジタルカメラ事業の抜本的改革
・ドキュメント・インフォメーション事業の体質強化
(インフォメーション事業にはメディカルシステム・ライフサイエンスを含む)
2010年3月期のセグメント別営業損益は以下の通り。 (億円)
処理前 構造改革費用 処理後 Imaging カラーフィルム
カラーペーパー・薬品等
フォトフィニッシング機器
ラボ・FDi
デジタルカメラ-151 541 -692 Information メディカルシステム・ライフサイエンス
グラフィックシステム
フラットパネル・ディスプレイ材料
記録メディア
情報・産業機材617 643 -26 Document デジタル複合機
オフィスプリンター
サービス575 253 322 全社 -25 -25 合計 1,016 1,437 -421
構造改革費用の推移は以下の通り。 (単位:億円)
構造改革 費用 |
内容 | 効果 | |||||||||||||||||||||
2006/3 | 860 | Slim & Strong 活動 ・生産設備加速償却等 ・特別退職金等人員削減関連 ・投資有価証券評価損 (*) 人員削減 2007/3末までに5000人強 |
2007/3 400強 | ||||||||||||||||||||
2007/3 | 941 * 224 | ||||||||||||||||||||||
2008/3 | 330 | ||||||||||||||||||||||
2009/3 | 335 |
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2010/3 | 1,437 |
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2009年度 380 2010年度 +450 2011年度 + 70 合計 900 | ||||||||||||||||||||
2011/3予 | 250 |
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JXホールディングス
新日本石油と新日鉱ホールディングスは2010年4月1日に合併し、JXホールディングスとなった。
両社とも前年の在庫評価による大きな赤字が逆転し、黒字となった。
しかし、在庫評価を除いた損益では、石油製品の販売数量減少およびマージンの悪化、石油・天然ガス開発部門の減益などにより、前年比減益となった。
単位:億円 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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2011/3では、新日本石油が減価償却法を定率法から定額法に変更(影響 +290億円) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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両社の経常損益の内訳は以下の通り。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
新日本石油 単位:億円 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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新日鉱 ホールディングス | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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参考 出光興産決算 2010/5/5 注目企業の決算-2(JSR、カネカ、出光興産)
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チッソ
増収、増益で、前々年比でも営業損益、経常損益は増益となった。
単位:億円 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
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同社の事業は以下の通り。
化学品事業
機能材料分野(液晶、電子部品等)
化学品分野(樹脂、アルコール、溶剤等)
加工品分野(繊維製品、肥料等)
その他の事業(商事部門、エンジニアリング部門)
特別損失に水俣病補償関係損失等として47億円を計上した。
期末現在での利益剰余金は -1,034億円となり(前年末は -1,139億円)、資本金 78億円に対し、純資産合計は -807億円となった。
水俣病の「特別措置法」では、同社は、県の判定による対象者に一時金一人当たり210万円、団体に対し31億5千万円を支払うこととなるが、同社では支払い総額については今後の判定等によるとして判明しないとしている。
同社では以下の通り述べている。
「特別措置法」に従って、紛争解決を図るとともに、「特別事業者」としての指定を受けたうえで、「事業再編計画」の作成及び認可申請等を行い、会社組織の再編(いわゆる分社化)に取り組んでまいります。
参考 2010/1/11 チッソ会長、「10月分社化目指す」
目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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