経産省化学課は5月14日、「世界の石油化学製品の需給動向」2010年版を発表した。
世界の石油化学製品の今後の需給動向
国別データシート
2014年までの新増設計画
商品別集計データ表製品別・国別の能力/生産/需要データ (METIデータ組替)
概要は以下の通り。
世界のエチレン系誘導品の需要は2008年に原油や石油製品価格の乱高下の影響を受け、減少に転じた(前年比 -4.2%)。
2009年以降は、世界的な金融危機等の影響が未だ残るものの、世界全体で経済の回復が達成されることを前提に、各国・地域ごとの需要見通しを積み上げると、2008~14年の世界全体の需要の伸びは年平均+3.9%、2014年の需要量は134.2百万トン(2008年比で+27.6%)となる見通し。
中国については、輸出環境は依然厳しいものの、国内需要の回復に伴い、石化需要も2008年夏場(原油下落開始時期)以降、急激に落ち込んだ需要は、09年末には在庫調整も終わり、原油の下げ止感がでたことから、在庫の上乗せ需要も加わり、大きく需要が回復した。
中国の2008~14年の需要の伸びはエチレン換算で年平均 8.0%とみている。
LDPE 8.1%、HDPE 9.6%、PS 6.1%、PVC 8.5%、
PP 9.1%、PTA 9.1%
中国は現在のところ、エチレン換算の約5割を輸入に依存しているが、2009年から新設プラントが本格的に稼働を始めており、その自給率が上がり、2014年の輸入比率は約3割まで低下すると見込まれている。輸入比率が低下し、輸入量は緩やかに減少すると見込まれている。
ーーー
今後、中東や中国で大規模コンプレックスが続々完成する。
しかし、ほとんどの製品で現在の能力が既に2014年の需要を上回っている。
中国での新設は当然、輸入品に置き換わるし、中東などの新規設備は既存の老朽設備を淘汰することとなる。
日本への影響は大きい。
上記のとおり、この報告では中国の需要の伸びを年率8%でみている。
各製品で中国の需要の比率がどんどん上がっている。
エチレン換算でみると、需要の増加は驚異的である。 2008年 2014年予想 増加量 中国 19.8百万トン 31.5百万トン 11.7百万トン 米国 20.0百万トン 22.9百万トン 2.9百万トン 西欧計 22.8百万トン 24.3百万トン 1.5百万トン
中国の需要が今後もどんどん伸びるかどうか疑問がある。
製品輸出が今後も伸びるか?
人民元の引き上げ、労務費アップ、貿易戦争
個人消費が増えるか?
「家電下郷」、 「汽車下郷」などの補助金は続かない。
都市部と農村部の所得格差の拡大(農村部の消費は余り拡大しない)
消費より貯蓄の傾向(将来への不安)バブル崩壊の恐れ(住宅価格、株価の異常なアップ)
<p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p>
2006/2/21 の「中国バブル説」でこう書いた。
(中国の需要予想の)根拠の一つには13億人という膨大な潜在需要の存在と思われる。
しかし実際には三大成長エリア、広東、長江デルタ(上海)、渤海湾(北京、天津、大連)の3億人を現在のマーケットと考えるべきである。これと残りの10億人の所得格差は著しく大きい。
将来は別としてこの数年をとってみると、これら10億人の需要を当てにすることはできない。
仮に三大エリアの3億人が石化製品を日本並み(44kg/人・年)、残り10億人がフィリッピン並み(6.5kg/人・年)に消費するとすれば、中国の需要は2000万トンにしかならない。
現在では中国の市場はもう少し拡大はしているが、農村部の状況は余り好転していない。2014年に需要が5割以上も増えるであろうか。
仮に中国の需要が伸び悩めば、大変なことになる。
目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmに
あります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
コメントする