フマキラーとアース製薬は4月28日、フマキラーがアース製薬を対象に行っていた、製造、販売等の差止め請求の仮処分命令申立事件で和解した。東京地方裁判所による和解勧告を受け入れた。
問題製品はフマキラーの携帯型電池式蚊取り器「どこでもベープNo.1 NEO」と、アース製薬の「おそとでノーマットV130」。
両社の争いは、2008年7月にアース製薬が、同社の携帯用虫よけ器の特許権が侵害されたとしてフマキラーに対する特許侵害訴訟を東京地裁に提起したことで始まった。
アースの特許「携帯用害虫防除装置」は、電池式ファンの気流で薬剤を気化させる携帯用害虫防除装置で、使用者が装置を身につけ起立した状態で、上下の排気口から体に沿って薬剤を含んだ気流が放出されることを特徴としている。
アースは2000年から同特許の技術を用いた「蚊に効くおそとでノーマット」を販売しているが、フマキラーが2004年に販売開始した「どこでもベープ No.1」がこの特許を侵害しているというもの。
アース製薬はフマキラー対して、製造販売の中止を求める警告書を送付したが、フマキラーから「特許権の侵害はない」と返答されたことから、提訴に踏み切った。
2009年7月に、今度はフマキラーがアース製薬に対して、不正競争防止法に基づき、アース製薬が製造・販売する携帯型電池式虫よけ器「おそとでノーマットV130」の製造、販売等の差止めを求めて、東京地方裁判所に仮処分命令の申立を行った。
フマキラーの「どこでもベープNo.1 NEO」は、どこでも誰でも手軽に、安全に使用することができる製品として、「使いやすさ」プラス「おしゃれ心」を追求した商品開発に取り組んだ結果、累計250万台を超える販売実績をもつが、アース製薬の「おそとでノーマットV130」は、商品の形態など、極めて類似した商品としている。
需要家が両製品を誤認混同して購入することを懸念した。
これに対し、アース製薬は、フマキラーの商品を模倣した事実は一切ないとして、裁判で争う姿勢を示した。
アースの大塚達也社長は、「何をもって不正競争防止法に抵触するというのか理解に苦しむ。最終的には当社の言い分が通るだろう」と訴訟に不快感をあらわにした。
2009年8月、アース製薬が特許権を侵害されたとしてフマキラーを相手に製品の製造・販売差し止めを求めた訴訟で、東京地裁は請求を棄却した。アース製薬の特許は公知例から容易に類推できると判断し、特許は無効とした。
今回の和解は、2009年7月にフマキラーがアース製薬に対して、不正競争防止法に基づき、「おそとでノーマットV130」の製造、販売等の差止めを求めて、東京地方裁判所に仮処分命令の申立を行った事件に関するもので、和解内容は、アース製薬とフマキラーがそれぞれの製品のパッケージを変更することを主な内容としている。
フマキラーでは、本和解により、需要家が両社の製品とを誤認混同することが回避できるとして、和解に満足しているとしている。
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なお、アース製薬はフマキラー株を買い増しており、2009年4月での持株比率は11.1%で、筆頭株主となっている。
2008/1/23 アース製薬によるフマキラー株式購入
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