三星グループの新事業戦略

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三星グループは5月11日、新事業戦略を発表した。

本年3月に経営の第一線に復帰した李健煕会長主宰で新事業関連社長会議を開き、確定したもので、未来の新事業は、太陽電池、自動車用電池、発光ダイオード(LED)、バイオ製薬、医療機器の5つ、2020年まで23兆3000億円(約1兆9000億円)を投資するというもの。

事業 投資額 売上高  
太陽電池  6.0兆ウォン  10.0兆ウォン  
自動車用電池 5.4兆ウォン 10.2兆ウォン SB LiMotive
LED 8.6兆ウォン 17.8兆ウォン  
バイオ関連 2.1兆ウォン 1.8兆ウォン バイオシミラー中心
医療機器 1.2兆ウォン 10 兆ウォン 9500人雇用
合計  23.3兆ウォン 50 兆ウォン  

太陽電池事業には10年間に6兆ウォン(約4900億円)を投資し、売上高10兆ウォン(約8100億円)を目指す。
既に研究開発用の生産ラインを稼働中。効率の高い結晶系太陽電池から先に開始し、その後は単価が割合安い薄膜系事業を進める。

自動車用電池には、Samsung SDI とドイツBosheとの合弁会社・SB LiMotiveが5兆4000億ウォン(約4400億円)を投資し、売上高10兆2000億ウォン(約8300億円)を目指す。

2009年8月SBリモティブはBMWに対し 2013年から8年にわたり電気自動車用電池を供給することが決まった。

LEDについては、ディスプレーばかりでなく一般照明と自動車用部品(ヘッドランプ、室内灯、計器盤など)にも事業を拡大する。このために10年間に8兆6000億ウォン(約7000億円)を投資し、売上高17兆8000億ウォン(約1兆4000億円)を目指す。

バイオ関連事業には2兆1000億ウォン(約1700億円)を投資する。サムスン電子が昨年新事業として発表したバイオシミラー(後発生物製剤)が中心となる見込み。

2009年7月、サムスン電子がバイオシミラー(後発生物製剤)分野進出に向け、向こう5年間で5000億ウォン(約365億円)を投資することが明らかになった。

国内バイオ企業3社 と企業連合を構成し、特許権が消滅する9種以上のバイオシミラーを大量供給できるシステムの構築を進めており、2011年の製品発売を目標としている。

血液検査器などの医療機器には1兆2000億ウォン(約 1000億円)を投資する。

同グループは5つの新事業を通じて 2020年まで売上高50兆ウォン(約4兆円)を達成し、4万5000カ所の新規雇用を創出する。

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三星(サムスン)グループの李健煕会長は2008年4月、脱税などの疑惑を受け、退陣を発表した。

   2008/4/26 揺れる韓国サムスングループ

2009年8月14日、李健熙前会長の差し戻し審判決で、ソウル高裁は、関連会社であるサムスンSDSの新株引受権付社債 を不当に安く発行したとして懲役3年、執行猶予5年、罰金1100億ウォン(約85億円)の判決を言い渡した。

2009年12月29日、韓国政府は執行猶予付きの刑が確定している李健熙前会長を31日付けで特別赦免すると発表した。
国際五輪委員会委員の資格を回復させ、2018年冬季五輪招致に弾みをつけるためとしている。

2010年3月24日、李健煕氏がグループ社長団会議の要請を受け、サムスン電子の会長に復帰した。

世界シェア首位のメモリーや液晶パネルで中国などの追撃を受け、「今後10年以内にサムスンを代表する製品は大部分無くなる」と危機感を示し、新規事業育成に注力するとした。

今回のサムスンの未来戦略は、「環境」と「健康」に焦点を合わせている。これらは同社としては新分野で、現在多額の利益をもたらしている既存事業には安住しないという意思を示している。

但し、バイオ製薬事業に投入する資金は10年間で2兆1000億ウォンにすぎず、どれだけ成果が上がるか疑問とする声もある。


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http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

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