豪州政府は5月2日、将来の税制に関する政府方針:Stronger Fairer Simpler ー A tax plan for our future を発表した。
2007年12月に誕生した労働党政権は、半年後の2008年5月に税制調査委員会を発足させた。
委員会が2009年末まで検討した報告書を基に、政府ハイレベルで更に検討を加えたもので、今後の税制改革法案の叩き台となる。
法人税減税などに加え、鉱業分野に関し、州政府の資源ロイヤルティ税に加えて、連邦政府が課税する40%の資源超過利潤税(Resource Super Profits Tax) を新たに導入するとしている。
鉱業及びエネルギー分野は、豪州の全輸出物、サービスの約6割を占めるものの、全雇用の1.6%を占めるにすぎず、高騰する鉄鉱石、石炭等から得られる利潤は、一部の資源会社に占有されており、資源ブームで得た利潤の一部を税金として課税し、国民に分配する姿勢を打ち出した。
本税制改革は「公平なる繁栄の共有」のための10年計画の第一段階であり、第二期資源ブームによりもたらされる成長の機会を、国民の繁栄のために生かしていくべきとしている。とりわけ、再生不能な資源から得られる利益について、国民全体で公平に享受できるかに焦点をあてて改革を行うとしている。
州政府の資源使用税は存続するが、二重課税を防止するため、支払ったロイヤルティ相当を税額控除として認める方針。
同税は2012年からの導入を予定し、当初2年間で120億豪ドル(約8940億円)の税収を見込む。
米格付け会社Moodysは、課税が2012年に始まると、鉱山各社の収益が約3分の1、減少する可能性があるとみている。
更に、カナダやペルー、チリも豪州に続く可能性があるとの指摘もある。
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資源業界では新税制の導入発表後、計画見直しなどが相次いでいる。
Rio Tinto のCEOは5月24日、豪資源税は世界的に最大のソブリンリスクと指摘、最悪の想定に基づき豪州での全てのプロジェクトを見直すよう幹部に命じたと述べた。
BHP Billitonも、影響について調査するため複数のプロジェクトを保留する。同社のCEOは、オリンピックダム・プロジェクトなどの計画の拡張について、承認は「非常に困難」かもしれないと述べ、新税制は企業の国外移転につながり、豪州経済の9%を占める鉱山業界を脅かすとの見方を示した。
スイスのXstrataも、「政府が何を目指しているか判明するまで全てのプロジェクトについて再検討する」と述べた。
これを受け、資源・エネルギー相は5月17日、「細部について交渉の余地がある。これは真の協議プロセスだ。意見に耳を傾けている」と述べた。
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