Bhopal 事件でインド人元役員等8人に有罪判決

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1984年12月にインドのBhopal Union Carbide 工場から有毒ガスが漏れ、その夜のうちに3,000人が死亡し、最終的に2万人以上が死亡した。

Bhopal Union Carbide 工場では殺虫剤のCarbarylを製造していた。この中間体のmethyl isocyanate(MIC)はホスゲンから製造するが、MICタンクに水が混入し、大量の有毒ガスが発生し、ガス洗浄装置が修理のため停止していたため、有毒ガスが漏れ続けた。 

現在もなお工場から漏れ出した化学物質による周辺住民への健康被害が続いており、10万人が慢性疾患で苦しんでいる。

2008/6/25 Bhopal 事件のその後

インド最高裁等の資料では、被害状況は以下の通り。

事故当初(12/3~12/6)の公式の死者  3,000人以上
同 非公式の死者  7,000~8,000人
現在までの死者合計 15,000人以上
被害者  約60万人

被害者団体によると、Bhopal では、生まれつき障害を持った者や成長障害がある者、癌や糖尿病や他の慢性疾患の患者が異常に多く、事故から何年もたってから生まれた人の間でも見られる。

インドのBhopal 市の裁判所は6月7日、25年以上前の事件でインド人の元役員等8人に有罪とした。

被告は当時のUnion Carbide India の会長のKeshub Mahindra (現在はインドの自動車会社 Mahindra & Mahindra の会長で、85歳)のほか、同社社長、副社長、工場長、製造部長など。

当時のUnion Carbide会長のWarren Anderson も告発されているが、裁判に出頭せず、「逃亡中」で、今回の判決には入っていない。

量刑は追って決められる。

1987年にインド中央捜査局が12名を過失殺人(culpable homicide not amounting to murder)で告発した。
この罪状は最高
10年の懲役刑となる。

しかし、
1996年にインドの最高裁は過失致死(death by negligence)に引き下げたため、最高刑は2年の懲役となる。

このため、被害者の間では、ひき逃げと同じかとの不満が出ている。

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インド側は事故の原因は工場の設計とメンテナンスにあるとしているが、Union Carbide は、それまでの安全実績をあげ、ガス漏れは一人の従業員がサボタージュでガスタンクに細工したために起こったと主張した。

同社は
1989年にインド政府に解決金として470百万ドルを支払った。

支援グループでは生存者は補償金として平均500ドル程度しか受け取っていないとしている。

Dow Chemical は、「Union Carbide 470百万ドルを支払ってインド政府との間で将来にわたって解決した。ダウは10年以上後の2001年にUnion Carbide を買収しており、なんらの債務も引き継いでいない」と主張している。

更に、「工場はUnion Carbide India が所有、運営していたものであり、Union Carbide 自体はなんら工場の操業に関与しておらず、同社及び社員はインドの裁判所の管轄外である」としている。

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インド政府が企業誘致を優先し、Dowに対して弱腰であるとの批判が強い。

Manmohan Singh 首相は昨年の25周年に当たり、事故を"tragedy of neglect"とした。
「政府はこれまで、救済、医療、被害者の生活環境の改善に努めてきたが、今後も、安全な飲み水の確保、工場跡地のクリーンアップ、医療継続、その他に取り組んでいく」と述べた。


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http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

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