丸紅、天津渤海化工集団との戦略的パートナーシップ契約締結

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丸紅は6月23日、中国の総合化学大手、天津渤海化工集団(Tianjin Bohai Chemical)と戦略的パートナーシップ契約を締結し、今後、天津渤海化工が計画しているプロジェクト推進に協力していくと発表した。

天津渤海化工は天津市傘下の国有企業で、長年、石炭を原料としたアンモニア・肥料やソーダ灰(ガラス原料)やクロルアルカリなどの無機化学事業と、輸入エチレンやプロピレンを原料とする石油化学事業、殺虫剤、染料中間体などの事業を天津市の経済開発区で営んでいる。

天津市は、石油・化学産業は発展が期待される基幹産業と位置付けており、天津渤海化工は、天津市のサポートも得て、天津渤海化工園区を現在建設し、プロパンを原料としたプロピレンとその関連誘導品の事業化計画を進めている他、電子材料や精密化学品分野を含むケミカル・チェーン経営への展開も計画している。

プロパン脱水素によるプロピレン計画は能力60万トンとされ、プロピレンは渤海グループのプロピレン誘導品のオクタノール、エピクロルヒドリン、アクリル酸、酸化プロピレン(下記)などに使用される。PPの計画はない。

丸紅は、1980年代に天津渤海化工の殺虫剤や漂白剤の販売から始め、現在ではVCM、エチレンやプロピレン、溶融硫黄などを長期的に同社に供給している。溶融硫黄については輸入・貯蔵する合弁会社を天津渤海化工傘下の子会社と設立している。

今回の戦略的パートナーシップ契約の締結を契機に、丸紅は、天津渤海化工が今後推進する案件への事業提案や、ライセンサーや合弁を含めた海外事業パートナーの積極的な紹介を通じ、その原材料や製品の取扱い、ならびに事業参画にも優先的に関与していく。
また、天津渤海化工との包括的なアライアンスを通じて、中国市場への取組みを強化していく方針。

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天津渤海化工は子会社に天津大沽化工(
Tianjin Dagu Chemical) を持つ。

天津大沽は自社で800千トンのPVC能力を持つとともに、韓国LG ChemとのJVの天津LG大沽化工(LG 85%、天津大沽 15%)で340千トンのPVCを生産している。

天津渤海はLG Chemとの合弁で、天津に天津LG渤海化工(LGグループ75%、LG大沽10%、渤海化工15%)を設立し、苛性ソーダ 240千トン、EDC 300千トン、VCM 350千トンを生産、VCMは天津LG大沽化工に供給している。

2006/9/12 LG Chem、中国で2工場竣工

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天津渤海化工の子会社の天津大沽化工は塩ビチェーンのほかにPOおよびPO誘導品を事業化している。
PO能力は年産100千トンで、三井東圧化学(当時)の技術を導入したもの。

同社はこのたび、過酸化水素法酸化プロピレン(HPPO)の年産1,500トンのパイロットプラントの操業を開始したことを明らかにした。本年末に市場に製品を出す予定。

同社ではHPPO年産10千トンの商業生産用プラントの建設も行っている。

過酸化水素法PO(HPPO)、はBASFが1995年頃から研究してきたもので、副産物がなく、最終製品であるPOと水しか発生しないこと、プラントの設置面積が小さく、必要インフラストラクチャが少ないことが特徴とされている。

ダウとBASFは合弁でアントワープに過酸化水素法で30万トンのPOプラントを建設、2009年3月にスタートアップ段階を終え、順調に操業している。

2009/3/12 ダウとBASFのHPPO法PO 生産開始

ダウはまた、2009年9月に、この技術を使用し、タイのMap Ta Phut 近郊のAsia Industrial Estates39万トンのHPPOプラントの定礎式を行った。
実施はタイの
Siam Cement GroupとのJVMTP HPPO Manufacturing で、2011年に生産開始の予定。

2008/6/16 Dow、タイで過酸化水素法PO工場建設

天津大沽化工は独自でこの製法を開発し、中国で特許を取ったとされている。

なお、中国科学院大連化学物理研究所(DICP-CAS)もHPPOの技術を開発したとされる。但し、パイロットプラントは建設していない。

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また、天津大沽はSINOPECの天津エチレン計画(100万トン)に参加し、2007年11月にSM 600千トン(500千トンから見直し)とABS400千トン(の第一期200千トン)の建設を開始した。

2007/8/23 天津大沽化工、天津でSM 500千トンプラント建設


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